なんともすっきりしないスタートにも見えるが、仕方ないのだろう。現在はSBI証券への投資用資金口座として「SBIハイブリッド預金」へ資金を入れている住信SBIネット銀利用者が少なからずいる。しかし、ドコモとの関係いかんで、そのメリットは宙に浮きかねない。
兆候はすでに出ていた。先ごろSBI新生銀行がSBI証券の買い付け資金として利用できる「SBIハイパー預金」をスタートさせたが、その預金金利は住信SBIネット銀をあざ笑うかのように高くつけた。
「SBIハイブリッド預金」(住信SBIネット銀)が年0.21%に対し、「SBIハイパー預金」(SBI新生銀)はその2倍にあたる0.42%。さらに、SBI証券への投資に際して2つの預金は併用できないとある。どちらかを選択せよというのだ(金利は税引き前)。
なかなか露骨だが、SBI証券側は「うちで投資を続けたいなら、新生銀行に口座を移してよ」というスタンスに見える。投資家側も「これまで住信SBIさんにはずいぶんお世話になったし、いきなりそんな不義理は……」なんて浪花節的なこだわりに縛られる人などいないだろう。
潮が引くように“ドコモ銀行”から新生銀行へ資金が移っていく――などという危惧をしていたところ、どうも当たったらしい。
SBI新生銀行は、取り扱い開始からわずか2週間でSBIハイパー預金の残高が2000億円を突破したと発表した。それが主にSBIハイブリッド預金からの流出分だとすれば、ドコモ側にはかなり痛い開業祝いとなったに違いない。
銀行が“ポイント経済圏”のキモ
NTTドコモが銀行を欲しがった理由は、ポイント経済圏の中軸となる存在だからだ。
そもそもポイントとは、原則として消費によって付与されるもので、消費のツールとなるのはコード決済およびクレジットなどのカードだ。コード決済を使うにはクレジットカードの紐づけや銀行口座からのチャージが必要になるし、クレジットカードの利用料金は銀行口座から引き落とされる。お金が出入りする元はいずれも銀行口座というわけだ。
決済におけるポイント還元率を引き上げる条件として、カードの引き落とし元をグループ銀行に設定するよう条件づけるのは当然のことだろう。そのため楽天カードは楽天銀行、PayPayはPayPay銀行、auPAYはauじぶん銀行というように、ポイント経済圏ではひも付け用に同じブランド名の銀行を抱えている。
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