20歳から衰え始める「腎臓寿命」をのばす方法→腎機能低下を進める最大のリスクとは

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加齢によって年々ネフロンが減っていくのはどうしようもできません。出生時の体重が低くネフロン数が少なかったとしても、もはやどうにもなりません。では、わたしたちは、ネフロン数が減るとともに腎機能がじわじわと低下していくのをあきらめて黙って見ているしかないのでしょうか。

いいえ、そんなことはありません。腎機能はやることさえちゃんとやっていれば、機能低下のスピードに歯止めをかけることができます。運動や食事など、腎機能がスムーズに働くような生活習慣を実行していれば、機能の衰えをスローダウンさせることもできるし、ある程度なら機能を回復させていくことも可能なのです。ですから、あきらめる必要はまったくありません。

「腎臓リハビリ」は腎臓寿命を延ばす

では、どうすれば腎機能を守り抜いていくことができるのか。

私が確立した「腎臓リハビリ」は、腎臓の機能がスムーズに稼働するような運動や食事を励行することによって、腎機能を維持・回復させていくメソッドです。先ほど申し上げたように、腎臓のネフロンは「消耗品」であるわけですが、腎臓リハビリにはその消耗品のネフロンを効率よく使って、できるだけ長持ちさせていくためのノウハウが詰め込まれていると考えてください。

腎臓リハビリでは、運動面ではウォーキングや軽い筋トレなど、適度に体を動かすことをおすすめしています。また、食事面では塩分、糖質、たんぱく質、リンなどの摂り方を工夫して、「ちゃんと食べて改善していく」ことをおすすめしています。

これらの「リハビリ」は決して難しいものではありません。ただ、腎臓のネフロンが残り少なくなってしまう前に、なるべく早い段階から実践するほうがいいでしょう。早い段階から運動や食事を習慣づけていけば、たとえ腎機能が多少落ちてきていたとしても、それ以上の衰えを防ぎ、持てる力を効率よくキープして、「腎臓寿命」を延ばしていくことができるはずです。

繰り返しますが、「加齢」も「出生時の体重」も、自分の力ではもうどうすることもできません。しかし、運動や食事なら、自分の力で変えていくことができる。それによって自力で腎臓寿命を延ばしていくことができるのです。

ですからみなさん、ぜひやるべきことをやって、腎臓の機能を長持ちさせていくようにしてください。そして、日々腎臓をいたわることによって、人生の健康寿命も引き延ばしていくようにしましょう。

上月 正博 東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長

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こうづき まさひろ / Masahiro Kouzuki

医学博士。日本腎臓学会功労会員、総合内科専門医、腎臓専門医、高血圧専門医、リハビリテーション科専門医。1981年、東北大学医学部卒業。東北大学大学院内部障害学分野教授、東北大学病院リハビリテーション部長、東北大学大学院障害科学専攻長、同先進統合腎臓科学教授を歴任。2022年より現職。心臓や腎臓などの内部障害のリハビリテーションを専門とする。2011~2021年日本腎臓リハビリテーション学会理事長、2020より国際腎臓リハビリテーション学会理事長。2018年には腎臓リハビリテーションの功績が認められ、心臓や腎臓の分野に貢献した科学者に贈られる世界的に名誉ある賞「ハンス・セリエメダル」、2022年には「日本腎臓財団功労賞」を受賞。

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