20歳から衰え始める「腎臓寿命」をのばす方法→腎機能低下を進める最大のリスクとは

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なぜ、長生きが慢性腎臓病を増やすことにつながるのか。それを理解するには、まず「腎臓のネフロン」について知っておかなくてはなりません。

腎臓には心臓が送り出す全血液の4分の1が流れ込んでいるのですが、その大量の血液を濾過する役割を担っているのがネフロン。ネフロンは細長い管状の器官で、腎臓には、この細長い濾過装置がみっしり詰まっていると考えてください。

通常、人間の腎臓には、1つで約100万個、2つで約200万個のネフロンが備えられています。「全身を巡ってきたよごれた血液を濾過して、老廃物や不要物などを取り除いて血液をきれいにリセットする」という腎臓の最大の機能は、これらのネフロンによって支えられているわけです。

腎機能低下は20代から始まっていた

しかし、このネフロンは、数に限りのある「消耗品」であり、歳を重ねて年々使うごとに少しずつ減ってしまうのです。

消耗品であるということは、「消しゴムが使えば使うほどすり減っていってしまう」のと同じです。しかも、減ってしまったネフロンはもう再生することはありません。すなわち、ネフロン数が減るのは、イコール「減った分だけ、腎臓の濾過機能が低下する」ことを表しています。

では、ネフロンはどれくらいのペースで減るのか。腎臓トラブルは高齢者のもののように思われているのですが、じつはネフロンは20代から少しずつ減り始めます。腎機能低下は20代の若いうちからすでにスタートしているのです。

そして、30代、40代、50代と歳を重ねるとともに減少が進み、60代になると、ネフロン数が20代のときの半分ほどになるとされています。20代で200万個のネフロンを持っていたら、60代になると半分の100万個ほどに減ってしまうわけですね。

さらに60代以降、高齢になるとともにネフロン数の減少が進むと、着実に腎機能も低下して、慢性腎臓病と診断される人が増えてきます。実際、日本では70代になれば3人に1人、80代になれば2人に1人が慢性腎臓病になるという統計も出ています。診断が下りていなくても腎機能低下が進んでいる人は多いでしょうから、「高齢になったら、腎臓がまったく悪くない人はいない」というくらいの状況になると言っていいでしょう。

つまり、「加齢」は慢性腎臓病の最大のリスクファクター。長く生きれば生きるほどネフロン数が少なくなり、それとともに腎機能が低下していくのは、残念ながら誰にも避けられないのです。

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