売りは「おもてなし」ではなく「おせっかい」。《スタッフが勝手に「してあげたい!」と思ったことをする旅館》が愛される理由

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国内外から客を集めているラグジュアリーな宿、Nazuna京都椿通。築110年以上の町家が立ち並ぶ、約1400平方メートルのL字型路地一帯を1つの宿に改修して開業した。23棟の町家が23室の客室に生まれ変わっており、1泊1室10万円前後の価格帯という。

取材に訪れた日は祇園祭がちょうど終わりを迎えた頃で、市内は少し落ち着きを取り戻し始めた時期。そもそも、繁忙期では取材など引き受けてはくれないだろう。

「こう暑いと外国人のお客さんも京都より涼しい場所に行かれるんでしょうね。街もそんなに混んでなかったでしょ」そう言って館内を案内してくれたのは代表の渡邊龍一さん。

代表の渡邊龍一さん(写真:筆者撮影)

とはいえ、ラウンジにはこの日も談笑を楽しむ外国人カップルの姿があった。年間を通した部屋の稼働率は6割から7割。宿が取っているアンケートによると、訪れる客の約10%が友人などからの紹介だった。

インバウンド客の中にも「京都に行くならTSUBAKI(=Nazuna 京都 椿通)がお勧め!と友人に言われて来た」という人も多いという。訪れた人たちが、友人に勧めたくなるほど心を掴まれているのがこの宿の「おせっかい」のようだった。

「おせっかい」を経営理念に掲げる会社

旅館を運営する株式会社Nazunaは「おせっかい」を経営理念に掲げる珍しい会社で、京都市内や宮崎県の飫肥(おび)など合わせて19の宿を運営する。

同社が「おせっかい」を経営に取り入れたのにはワケがあった。

日本の良さを表す言葉の一つに「おもてなし」がある。同社も、創業当初は他のサービス業と同じように、「おもてなし」を軸にした旅館運営を考えていた。

客室
客室は京都の自然美がテーマで、それぞれの部屋でコンセプトが異なる。窓の外には露天風呂がある(写真:筆者撮影)
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