iPhoneカメラ高画質の秘密はTDK、AGC、京セラ、ソニーといった日本製部品にあり。ティム・クックCEOが表敬訪問した理由

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AGCは1907年、三菱創業家の一員、岩崎俊彌が板ガラスの国産化を決意し、旭硝子株式会社として創業した会社。「創業118年」との紹介があると、ティム・クックから思わず感嘆の声が漏れた。2018年には無機物であるガラスだけでなく、有機物を含む幅広い素材を扱うグローバルな素材メーカーとして、世界でも広く認知されていた英語略称「AGC」を社名とした。

現在は自動車用ガラス、建築用ガラスに加え、電子分野にもかかわる総合素材メーカーを標榜し、ガラスという無機質の素材だけでなく、有機質の有機ポリマーも扱える技術力で他社との差別化を図っている。

iPhoneに提供している赤外線フィルターだが、他社のフィルターの多くが単に赤外線をカットするだけのフィルターなのに対してAGCのフィルターは、写真として記録する可視光の色再現を自然に保つように最適化され、アップルからの厳しい品質要求に応えているのが特徴だ。

iPhoneは5年以上にわたって使い続けられることが多いためその間、フィルターが劣化せず安定した性能を維持できることも必須条件になっている。

そんな厳しい条件を満たせるのは同社がガラスだけではなく有機材も扱えるからこそ、とのことで、競合他社には簡単に真似のできない部材だという。

アップルとの関係も長く、初期のiPodから部材提供を行っていた。iPhoneへの赤外線フィルターの提供開始はiPhone 4が登場した2010年からだという。

環境への取り組みについては「今年末までに製造に使用するエネルギーを100%再生可能にする」と宣言している。同社は1992年に「ブループラネット賞(Blue Planet Prize)」を受賞しているが、これはノーベル賞に環境分野が存在しないことを補う国際的な環境賞で、地球環境問題の解決に寄与した人物や団体を表彰したものだという。

京セラの技術が可能にする立体構造の高密度回路

京セラがステップ・バイ・ステップで紹介したセラミック基板の製造プロセスに興味を示すクックCEO。1600度の熱で焼成する話に興味が湧いたようで「ぜひ、今度工場見学に行きたい」と話していた(写真:アップル)
親指の爪ほどのサイズに無数の穴が空いた京セラのセラミック基板技術。正面から見ただけではわからないが光に透かすと精密な基板が姿を表す。クックCEOもその精密さに驚かされた様子だった(写真:アップル)
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