あなたの脳がどんどん"退化"するAIのダメな使い方 脳科学者・茂木健一郎さんが語る"AIの今"

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現在、ChatGPTを仕事に使うという流れ自体はもう止められないところまで来ています。それどころか、小学生までが夏休みの宿題である読書感想文にChatGPTを使っている時代です。

なぜでしょうか。極めて単純な話です。私たちがその便利さに気づき始めたからです。

人間の脳は、仕事でも勉強でも気の進まないことに直面したとき、思考系よりも感情系が強く反応します。やりたくないことに対して、脳の感情系は「ラクをしたい」「できれば避けたい」という反応を示すのです。

だからといって、感情系が優位な状態の脳を放置しておくと、いったいどうなるか。

嫌なことはすべてAIに丸投げして脳がどんどん退化する人と、藤井さんのようにAIを活用してさらなる付加価値を生み出す人の二極化が進んでいく。それが脳科学者としての私の意見です。

オックスフォード大学でAI研究を行っているマイケル・A・オズボーン准教授が、同大学のカール・ベネディクト・フライ研究員とともに著した「雇用の未来─コンピューター化によって仕事は失われるのか(The Future of Employment: How Susceptible Are Jobs to Computerisation)(2013年)」という論文が世界で大きな話題になりました。

AIの技術革新がすさまじい勢いで進む中で、これまで人間にしかできないと思われていた仕事がAIやロボットなどに取って代わられようとしていることに言及しています。

オズボーン教授は、アメリカ労働省のデータに基づいて702の職種、アメリカの総雇用者の約47%の仕事が今後10~20年で自動化されるリスクが高いという結論に至ったそうですが、言い換えると、AIに丸投げしてサボる人からどんどんAIに仕事を奪われていくと考えたほうがいいでしょう。

表のAI、裏のAI

ロシアに拠点を置くハッカー集団「ロックビット」が、2019年から2024年までに、アメリカや日本など約120カ国の企業や個人に対してサイバー攻撃を仕掛け、情報流出を止めるための「身代金」として総額約5億ドル(約770億円)を奪っていたことが判明し、世界中を震撼させました。

身代金は、主に暗号資産の「ビットコイン」で受け渡しされていたと言われています。

皆さんの中にも、手数料の安さや送金スピードの速さ、いつでもやりとりできるなどのメリットがある暗号資産を活用している方がいるかもしれませんね。

価格変動が大きく、高いリターンが期待でき、初期から保有していた人たちが数百円から数億円もの巨万の富を築いたといううわさ話も耳にします。

ただ、コインには表と裏があるように、暗号資産もこうした表と裏をしっかり理解したうえで活用しなければならないわけです。

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