人間には簡単でも生成AIには難しい意外なタスク 高度な知的作業が得意なAIに残された苦手分野

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AIの登場によってテクノロジーに変化が起きていますが、AIにも苦手なことはあるようです(写真:World Image/PIXTA)
生成AIは、単に人間の模倣や代替ではなく、人間と共に新たな価値や可能性を創り出すパートナーになりえます。その可能性について、東大・松尾研究室所属のAI研究者・今井翔太氏による最新刊『生成AIで世界はこう変わる』よりご紹介します。

コンピュータの限界とは?

たった10年の間で、どうしてコンピュータに関わるテクノロジーに、ここまでの変化があったのでしょうか。それはコンピュータ・AIにできること/できないことの前提が、生成AIの登場でひっくり返ってしまったからです。

「ポランニーのパラドックス」という有名な説があります。これは哲学者マイケル・ポランニーの言葉をもとに提唱されたもので、その内容は「人は言葉で表現できる以上のことを知っている」というものです。この「言葉で表現できる以上のこと」を「暗黙知」と言います。

このパラドックスは、人間の作業の機械化を阻む障害を表すものとして、よく引き合いに出されます。コンピュータは人間がプログラミングして初めて動きます。つまり、人間が言語で表現してプログラミングコードに落とし込むのが難しい動作は、そもそも機械化のしようがないということです。機械化においては、このパラドックスをどうやって乗り越えるかが課題でした。

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