自分では気付きにくい!?ハラスメント"加害者"になりやすい上司に共通する「3つの行動パターン」

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休職中、ユウヤさんは男性から男性へもセクハラが行われることをネット記事で読み、自分がハヤタさんから受けていたものはセクハラなのではないかと考えるようになりました。

そこで、復帰意向の確認で連絡を取ってきた総務課の職員に相談したところ、事実確認をさせてほしいと申し出があり、ユウヤさんはそれを受諾しました。

総務課で相談窓口を担っている職員が、ユウヤさんとハヤタさんの双方と面談をしました。ハヤタさんは「ハムくん」と呼んでいることは認めたものの、その他のことは記憶があいまいだと答えました。

ユウヤさんは、同調している周囲の社員からもハラスメントを受けていると感じていましたが、傷ついていることは知られたくないと思っていました。そのため総務課職員は、ユウヤさんの了承を得て直属の上司からも聞き取りを行いました。

その結果、ユウヤさんがあだ名で呼ばれていること、体臭についてからかう声があったのは事実だとわかりました。また、以前にそれを問題視する声が上がっていたものの、本人から申し出がなかったとして対応が保留されていたこともわかりました。

懲戒処分…先輩社員は自己都合退職

以上の事実から、会社はハヤタさんの言動がセクハラであると認め、ユウヤさんが休職せざるを得ない状況であったことから、ハヤタさんに懲戒処分を科すことにしました。

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処分にあたっては、ユウヤさんとハヤタさんの事実認識が異なっていたことを示し、弁明の機会を与えました。しかし、ハヤタさんは懲戒を受けることを良しとせず、結果として自己都合退職に至りました。

会社は、直属の上司もユウヤさんが不適切な呼称で呼ばれていたことを知っていながら放置していたことに責任があると判断し、人事上の措置として降格としました。

また、上司である管理課長と人事部長2名でユウヤさんに謝罪し、会社からの見舞金として30万円を支払いました。

ユウヤさんは元の部署に復帰しましたが、ハヤタさんが退職後であることもあり、過敏性腸症候群が再発することなく、今日まで勤務を続けています。

ユウヤさんのいた職場は、「容姿いじり」を許容する文化があり、特に男性に対しては冗談で通じると思われる風土がありました。現在は再発防止のために、毎年、全社員がハラスメント研修を受けて正しい認識の共有に努めています。

村井 真子 社会保険労務士、キャリアコンサルタント、経営学修士(MBA)

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むらい まさこ / Masako Murai

家業である総合士業事務所で経験を積み、2014 年、愛知県豊橋市にて独立開業。中小企業庁、労働局、年金事務所等での行政協力業務を経験。地方中小企業の企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築、ハラスメント対応に従事。移住・結婚とキャリアを掛け合わせた労働者のウェルビーイングを追求するとともに、労務に関する原稿執筆、企業研修講師、労務顧問として活動している。著作に『職場問題グレーゾーンのトリセツ』(アルク)、漫画原作に『御社のモメゴト それ社員に訴えられますよ?』(KADOKAWA)、監訳に『経営心理学 第2 版』(プロセス・コンサルテーション)ほか。
https://masako-murai.org/

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