数字をつくれる社員が評価される
<解説>
サトミさんが転職したA社の営業部は3つのチームに分かれていて、チームで月次KPIの達成を競い合う風土があります。個人成績を上げることでチームの評価を高めるという雰囲気があり、数字をつくれる社員が評価される文化がありました。
サトミさんが配属されたチームのリーダー(課長級)であるアベさんは、いわゆるプレイングマネージャーで、営業畑一筋で目覚ましい成績を上げてきた実力者です。しかし、管理職としての研修受講や部下育成の経験は乏しく、自分がプレイヤーとして成功した手法をそのまま部下に押し付ける傾向がありました。
サトミさんも成果を出すには一定の行動量がいることは理解していて、営業行為を惜しむつもりはありません。しかし、未就学児を抱えるなか、電話をかける回数や企業訪問量という指標では周囲に劣るところがありました。
サトミさんは、次第に上司のアベさんから毎日予定を報告させられ、細かな業務指示や確認、進捗共有を求められるようになりました。
その結果、残業が必要になることが増えました。サトミさんが保育園の送迎を理由に残業を断ると、アベさんは「全員で貢献すべきなのに、足を引っ張っている人がいる」「自分の能力不足を子どものせいにしてはいけない」などと、チーム全体のグループチャットで揶揄するような発言をするようになりました。
名指しされたわけではありませんが、チーム内で子育て中の社員は自分だけです。サトミさんは次第に追い詰められていきました。
やがて、サトミさんは転職をする覚悟で人事部に状況を伝え、マネジメントの改善を求めることにしました。相談を受けた人事部が、サトミさんとアベさん双方へのヒアリングを行うと、次のような事実が確認できました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら