自分では気付きにくい!?ハラスメント"加害者"になりやすい上司に共通する「3つの行動パターン」

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・チーム全体のオープンチャットで複数回、おおむね週に一回程度の割合で、アベさんが匿名の誰かを揶揄するような発言をしている
・2人のダイレクトチャットでは、アベさんがサトミさんに「もっと訪問先を増やせないのか」と問い、そのたびにサトミさんが謝罪をしているやり取りが、入社1カ月経過後から始まった。「言い訳をしないでほしい。あなただけが大変なわけではない」といったやり取りが週に1、2回程度発生している。また、他の社員に比べ、2人の直近1カ月間のメッセージの頻度・回数は5倍ほど多い
・入社からの期間が短いため、サトミさんの行動について、実際に人事評価に反映された実績はない

「パワハラとまでは言えない」

人事部は、確認できた事実に基づき、オープンチャットでのアベさんの言動は「パワハラとまでは言えない」と判断しました。よって、懲戒処分を科すことはしませんでしたが、「サトミさんへの揶揄と取れる発言を慎むこと」を誓約する文書の提出を、アベさんに求めました。

また、チームメンバー全員に対し品位ある言動をするよう注意しました。

一方で、サトミさんにもアベさんの指導方法を否定せず、謙虚に受け入れる姿勢を示すこと、また、育児介護休業法に定める「時間外労働の制限」を正式に申し出てもらうようにしました。

そして、1カ月について24時間、1年について150時間の範囲内での残業には協力するよう求めました。

ケース2 嫌がっていることに気づかず、容姿についての冗談を繰り返す先輩
<相談>
私は老舗の不動産運用会社に勤めています。職場の先輩から「ハムくん」と呼ばれて容姿いじりをされています。先日は「ハムちゃん臭いなあ。子豚さんブーブー」と女性社員の前で言われて笑われました。先輩がそう呼ぶせいで、他の社員にも「ハムさん」とか「ハムくん」とあだ名のように呼ばれます。一度嫌だと伝えましたが、「ハムって呼ばれたくないなら痩せなよ」と言われて取り合ってくれませんでした。もともと太りやすく、多汗症で、夏場は体臭が強く出てしまうときもあり、すれ違いざまに「臭いよ」と言われたりしてつらいです。この体質がずっとコンプレックスなのですが、最近はそれに加えて下痢がひどく、通勤のバスに乗ることが怖くなりました。病院を受診しましたが、精神的なものではないかと言われました。いったん休職するつもりですが、社員数50人程度の会社なので、復職してもまた同じあだ名で呼ばれるかもしれません。改善されないなら、いっそこのまま会社を辞めたほうがいいかと悩んでいます。
ユウヤ(30代・男性)

<解説>

ユウヤさんは2カ月ほど前から通勤時の下痢症状に悩んでいましたが、通っていた消化器内科クリニックの主治医から「過敏性腸症候群」の診断書を受けたことを機に、会社に休職を申し出て、3カ月の休養を取ることになりました。

漏らしてしまうことへの恐怖で、通勤でバスに乗ることが困難になったことに加え、出社しても打ち合わせなどトイレのない状況に短時間でもおかれることに不安を感じ、業務にも支障が出始めたからです。

ユウヤさんの先輩であるハヤタさんは、明るくて頭の回転が速く、周囲も一目置くタイプです。きわどい発言をしても面白がられることが多く、仕事ぶりも的確で、上司や女性社員からの評判も悪くありません。

しかし、ユウヤさんはハヤタさんが自分を「ハム」と呼ぶたびに不快な思いをしていました。一度は「やめてほしい」と伝えましたが取り合ってもらえず、周囲がハヤタさんの発言に笑っているのを見ると反論する勇気が出ませんでした。

むしろ自分に問題があるのではないかと考えて、落ち込んでいました。

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