50代で初ひとり旅――「旅の始まりは定宿の屋上から」 人に呆れられるほど通ったベトナム 有元葉子さんの旅の記憶

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ベトナムを訪れた有元葉子さんは「ほんの3日」で、すっかりとりこになってしまったそうです。写真は定宿のREXホテルの器など(画像:『旅の記憶 おいしいもの、美しいもの、大切なものに出会いに』)  
ベトナムにイタリアに、人気料理家の有元葉子さんが語る“おいしい話”に触発されて旅に出たという人は数多くいるのではないでしょうか。実は「私の仕事人生、旅人生がスタートしたのは50代からでした」と有元さん自身は語ります。
子育てが落ち着いてきて、旅に出るのは今だと出かけた秋のパリ。家を持つまでにいたったイタリアで一枚ずつ集めてきたヴィンテージのリネン。本当にいいものづくりとは何かを問いかけてくるブルネロクチネリのブラウス……。
世界中を巡った旅の記憶からは、「どうしたら自分を使い切れるかをいつも考えている」と語る有元葉子さんの人生観が垣間見えます。これから先、何を大切にして、何を楽しみとして生きていくか。ヒントにあふれたエールのような有元さんの新著『旅の記憶 おいしいもの、美しいもの、大切なものに出会いに』よりお届けします。
今回の舞台は、「ほんの3日」でとりこになり、その後、人から呆れられるほど通ったベトナムです。
1回目:『50代からの自分時間、初めてのひとり旅は秋のパリ』

ベトナムの食にすっかり魅せられて

ホーチミンシティに着くのは、たいてい夕方。街の真ん中にある定宿のレックスホテルに荷物を入れると、すぐに屋上のレストランへ行き、ほっと一息つくのが決まりです。注文もいつも決まっています。まずはチャーゾー(揚げ春巻き)と冷たいビール。

ベトナム料理といえば、日本では生春巻きが有名ですが、実際には揚げ春巻きのほうがよく食べられている印象です。

レックスホテルのチャーゾーは、ライスペーパーで具を包んで揚げた指先ぐらいのサイズの可愛らしい春巻きが、丸ごとのパイナップルにいくつも楊枝で突き刺してあるのです。運ばれてくると、これからおいしいベトナム料理が食べられる、と思わず笑顔になってしまいます。

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