それに、腎臓という体内浄化装置の衰えがもたらす影響は、単に腎不全や人工透析のリスクが高まるというだけにとどまりません。
腎臓は体のさまざまな臓器と連絡を取り合いながら相互に影響を及ぼし合っています。そのため、腎機能が弱ってくると、他の臓器にも影響が出てさまざまな不調やトラブルが生じることが多いのです。
たとえば、以前よりも疲れやすくなって気力や体力が続かなくなったり、見た目の老化が進んでしまったり、さらに、動脈硬化、心臓病、脳血管疾患などの重大な病気のリスクが高まったりもします。腎臓の機能の衰えをきっかけに全身の老化や病気が一気に加速すると言ってもいいでしょう。
体にきれいな水を回せるかが健康のカギ
そもそも腎臓は、人の生命を「いつも通り」に動かしていくために欠かすことのできない臓器です。腎臓が血液を濾過して、体を循環する水分や血液を「いつも通り」のきれいな状態に保ってくれているからこそ、わたしたちは毎日を「いつも通り」に活動して生きることができているのです。
ところが、加齢とともに腎機能が低下してくると、それまで「いつも通り」にできていたことが少しずつ「いつも通り」にできなくなっていくようになります。そして、「いつも通り」に運ばないことが多くなると、平和な日常が破壊されるかのように老化や病気が目立っていくようになるのです。
先ほど、腎臓が働かなくなるのは「トイレやキッチン、お風呂などの生活排水が家中にあふれてしまうようなものだ」と述べましたが、人間の健康にとっては、そんな具合に「いつも通り」の平和な日常が破壊されてしまうほど恐ろしいことはないのです。逆から言えば、腎臓の働きを健全にキープして、自身の体内にきれいな水を回し続けられる人は、歳をとっても「いつも通り」のことを「いつも通り」にこなしつつ、平穏無事に長生きをしていくことができるでしょう。
すなわち、わたしたちが長くすこやかに生きられるかどうかは腎臓の働き次第なのです。決して大げさではなく、人の寿命は腎臓が元気かどうかで決まると言ってもいいでしょう。
だからわたしたちは、老化を早めたり、病気を勢いづかせたり、寿命を縮めたりしないためにも、普段から腎臓という臓器をケアして大切にしていかなくてはなりません。体内の浄化システムを「いつも通り」にキープし続けていくことこそ、人生で健康長寿を実現する秘訣なのです。



















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