「消費減税」が陰に隠れた自民党総裁選…「積極財政」vs「財政健全化」が対立軸になりえない日本の現実とは?いま振り返るべき安倍財政の実像

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保守層を呼び戻し、自民党内の支持を保つという二律背反(写真:Bloomberg)

10月4日投開票で実施されることになった自民党総裁選挙。届け出順に、小林鷹之氏、茂木敏充氏、林芳正氏、高市早苗氏、小泉進次郎氏の5人で争われる構図となった。

出馬表明時に、それぞれが実現したい政策について発表した。本稿執筆時点で、各候補者が発表した主要政策には大きな違いは見いだせない。

同じ政党の中での政策論議だから、当然といえば当然かもしれない。石破茂内閣の下で6月13日に閣議決定された「骨太方針2025」に盛り込まれている内容と重なるところも多い。

「骨太方針2025」を取りまとめる前に、与党内で審議をして、(多少の不満は残れども)ひとまず了承しているわけだから、それを根底から覆すような政策を総裁選に向けて掲げれば、自民党内に波紋を広げるし、得られる票が失われることさえあり得る。

高市氏すら「財政健全化に配慮」と言及

積極財政派と財政健全化派が総裁選で対立するかとも噂されていたが、露骨にそうした構図にはなっていない。

何人かの候補者は、ガソリン税の暫定税率の廃止や所得税の減税を意味する政策について言及しているが、臨時的ならば財源の手当てはできそうな話である(もちろん、恒久財源の手当てがないところは今後の課題である)。高市氏が、「責任ある積極財政」と掲げているが、他方で、財政健全化の観点から配慮するとも言及している。

積極財政というなら、全国津々浦々に新幹線鉄道網を整備するとか防波堤を張り巡らせるとか、いかにも財政支出をバラマキまくると言ったりするかといえばそうではないし、政府債務残高を度外視してでも財政出動すると言ったりするかといえばそうではない。

(本稿脱稿後に言及があれば別だが)出馬表明早々に、2025年度の補正予算は2024年度の規模を大幅に上回るものにする、と言及するかといえば、そうではない。

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