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「消費減税」が陰に隠れた自民党総裁選…「積極財政」vs「財政健全化」が対立軸になりえない日本の現実とは?いま振り返るべき安倍財政の実像

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  • 土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授
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安倍元首相は、第2次内閣以降、「反財務省」の姿勢を示していたことが大きい。『安倍晋三回顧録』にはその言動が節々にある。

しかし、安倍政権は、第2次内閣以降の7年8カ月の間、確かに消費税率の引き上げは2度延期したが、財務省とは緊張関係があったもののその言い分を相当聞いていた。財務省が提起した政策として、所得税の控除縮小という増税も小幅だが累次にわたり行っていたし、社会保障費の増加を抑制する「歳出の目安」を堅持し続けた。

そして、最も象徴的なことは、基礎的財政収支の黒字化目標の旗を降ろさなかったことである。

「反財務省」の政策を展開したわけではなかった

第2次内閣の初期に、安倍政権として基礎的財政収支の黒字化目標を2020年度に達成すると閣議決定した。2017年9月の衆議院の解散時に、消費税の増税分を幼児教育無償化に使途変更するから2020年度の黒字化目標の達成は困難になると、安倍首相自ら宣した。

これをもって、基礎的財政収支の黒字化目標を破棄することもできたかもしれない。しかし、2018年6月の「骨太方針2018」で、黒字化目標の達成年次を2025年度とすることを第4次安倍内閣として閣議決定した。

このように、安倍政権では、表向きは「反財務省」的な姿勢を見せつつも、政権運営では反エスタブリッシュメント的な政策を大々的に展開するということは決してなかった。

そうみると、自民党総裁選が積極財政派と財政健全化派の対立という構図になっていないのも、総裁就任後の統治を考えてのことなのかもしれない。

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