年収150万円アップのはずが…「転職先で"死神"と呼ばれた男」40代コンサルが味わった衝撃の裏切り

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松本さんも例外ではなかった。大口顧客の契約を次々と失い、営業成績は下降線をたどった。かつては「頼れる人材」と称されていた彼も、今や過去の人。成果や功績は一瞬で色あせ、評価は冷たく風向きを変える。本人は「長年積み重ねた仕事が、こんなにも脆いものだったのか」と、強烈な孤独感を味わうことになった。

そんな折、取引先の大手金属メーカーの部長から声がかかる。

「松本君、私が子会社の社長に就任することになった。組織を立て直すため、ぜひ右腕として力を貸してほしい」

その子会社は、長年の放置で組織が乱れ、不正や不透明な慣行が常態化していた。新社長として抜擢された部長は、改革の推進役を探していたのだ。提示された条件は年収で150万円の上積み。しかも「改革の中心人物」という立場が約束されていた。

「これまでの経験を最大限に発揮できる場所だ」――そう確信した松本さんは、大きな期待と共に転職を決断した。

新社長の「右腕」として孤軍奮闘

転職後まもなく、新社長となったその部長は、容赦ない改革に乗り出した。不透明な経費流用を暴き出し、役員によるお手盛りの賞与配分を白日の下にさらした。

長年社内を実質的に支配していた古参専務を解任し、反発する社員には懲戒処分や手当カットで対抗。さらに業績不振を理由に退職勧奨まで進め、徹底的に組織を揺さぶった。

しかし当然ながら、こうした強硬策は大きな反発を招いた。古参派だけでなく一般社員からも不満が噴出し、労働組合との対立は激化。社内は一触即発の空気に覆われた。

その中で松本さんは「社長の右腕」として、痛みを伴う施策の実務を担わされる立場に置かれた。懲戒処分の通知作成、給与削減の説明、労組との団体交渉の窓口――常に矢面に立つ役割だった。

松本さん自身は「経営方針を最前線で遂行している」という使命感に支えられていた。社長から信頼されているという誇りもあり、時に高揚感すら感じていた。だが社員たちの目には、彼は“リストラを実行する張本人”として映っていた。

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