年収150万円アップのはずが…「転職先で"死神"と呼ばれた男」40代コンサルが味わった衝撃の裏切り

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「期待していた転職が、まさかこんな形で終わるなんて……。ひどい経営者を見抜けなかった自分の未熟さを痛感しました」

肩を落としながらも、彼はふたたび新しい職場を探す決意を固めた。

「肩に力が入りすぎている」と失敗しやすい

今回のケースで松本さんが陥った最大の誤算は、“社長の側近”という立場を強調しすぎ、現場の社員との関係づくりを怠ったことだ。突然現れた外部人材を警戒するのは当然である。焦って成果を出そうとするほど、反発は強まる。

本来ならば、まずは小さな信頼を積み重ね、理解者を得てから改革に着手するべきだった。社員に対しても「私も板挟みで苦しい」と弱さを見せることで、共感を得られた可能性は十分にあった。

転職したからには、早々に自分の実力を示すためにも、成果を急ぎたがるものだ。その「肩に力が入った」言動が、お手並み拝見と冷ややかに見つめる周囲の社員からは、「自身の成果のために我々を踏み台にしている」「自分たちのこれまでのやり方を否定した」「よからぬ企みのために採用されたのではないか」と誤解を受けがちだ。

転職はキャリアを切り拓くチャンスであると同時に、「期待が失望に変わる」リスクをはらむ。新しい職場に飛び込む際には、自分が“アウェイ”であることを自覚し、慎重に立ち回る必要がある。転職後に、周囲から受け入れられ、定着できて初めて「転職が成功した」と言えるのだ。

私は、転職成功のためには、実力とは別に「転職適性」が不可欠だと考えている。松本さんは、そのうち「肩に力が入りすぎない」という適性に欠けていたことになる。

転職適性に欠けた転職失敗は、誰にとっても他人事ではない。仕事の実力のみでは成功しえない転職活動。今回の事例を見るまでもなく、「誰でも転職できる時代だからこそ」、改めて、いまからでも、この転職適性を身につけることが不可欠となっている。

川野 智己 転職定着マイスター/組織づくりLABO代表

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かわの ともみ / Tomomi Kawano

1962年生まれ。伊藤忠アカデミーの教育マネジャーを経て、大手人材紹介会社の教育研修部長として従事。斡旋した転職者の多くが早々に離職し、労働市場での価値を自ら下げている人(ジョブホッパー)が多く生まれている惨状に強い問題意識を持つ。

そこで、転職定着・離職防止に取り組み、8年間にわたり転職予備軍に対して「転職先での働き方・人間関係構築のノウハウ」を伝え、転職後のミスマッチ退職率を1年間で44.0%から9.1%にまで劇的に引き下げた。

その経験を活かし、2006年に組織づくりLABOを設立、代表に就任。日本初の転職定着マイスターとして、転職者および予備軍のべ約2000人に対して個別カウンセリングやセミナーを行っている。併せて、採用側の企業が取り組むべきリテンション(離職防止)策を普及させるべく、全国での講演登壇や主要経済誌への執筆、TV出演などの幅広い活動を行っており、労使両面からの「職場と働き手の最適解」を発信している。

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