不倫関係といえどいつまでもいい関係は続きませんし、カビも生えれば喧嘩もします。そうなるまで待てるか、それまで待つ値打ちのある夫か、守る値打ちのある家庭か、タイミングよく妻側の力で解決できるかという話になりますが、少なくともあなたが望まない間は、離婚話においそれと乗らないことです
こんなことが言えるのは私が年寄りで、女心を理解していないか、夫をカネづるとみられる人にしかできないことだと、お叱りを受けるかもしれません。しかし経済的な安定は、バカにできない問題です。私が同窓会などでよく聞く話に、若い頃は、本当に夫の女性問題で泣かされたというのがあります。たいていは経済的な安定が、耐えられたひとつの要因です。
正論で責めるばかりが能ではありません。お互いに顔を見るのも嫌だというなら別ですが、喧嘩の売り言葉に乗って人生の一大事を決めるのもバカらしく思います。結論はもう少し、先延ばしにするべきです。
家庭円満の演出より、誠実さが大切
次に末のお嬢様の問題です。私は夫婦がいがみ合っていようが、一緒にいるほうが離婚するよりましな家庭だとは決して思いません。私の近所の清水さんは、夫に愛人ができて、20歳過ぎの娘二人がいるのに、夫から離婚を懇願されました。容姿も教養も品性も、その愛人より数段上の清水さんは耐えられず、愛人を交えて3人で話し合いましたが、夫たちを離すことはできませんでした。それで清水さんの提案で、二人の娘の結婚が終わるまでは、生活は別でも離婚はしないということで、決着をつけました。
これに似たケースを、私はときどき耳にします。木山さんという人は、「他府県にいる人との結婚なら、実質両親が離婚していてもわからない。なにもわざわざその親戚にまで、自分たちが離婚していることを知らせて、娘を低く見せる必要はない」という理由で、娘の結婚式に離婚した夫を呼び出して、父親の席に座らせました。
この木山さんも前述の清水さんも、同じことを言っていたので、私は複雑な思いで聞きました。式場で父親のあいさつを、元夫なり書類上だけの夫が、父親らしく愛情をこめて、堂々とスピーチしました。恥もなく堂々と話す態度に腹が立ち、それが言えるなら、なぜもっと大切にしてくれなかったのかと、怒りがこみあげてきて、耐えるのに大変だったというのです。母親たちはそれを面白おかしく話し、「両親揃った家庭」作戦が「成功」した満足感でいっぱいのようでした。
しかし私は、この作戦が成功したとは思えません。新しい親戚は騙し通せたとしても、娘の伴侶にまで騙すことはできなかったでしょう。娘の伴侶がそれを知ったとき、三者三様の猿芝居を、どう思うでしょう。嘘が平気な家族だと、不快に思うのが普通です。
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