中国で実家を出ず"親から給料を貰う"《専業子供》が流行る"深刻な事情"。親から家事の報酬で"月8万円"得る「33歳女性」などにリアルを聞いた

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一方で、反対の声も根強い。若者が長く社会から離れれば職業技能が衰え、将来のキャリア形成に影響しかねない。さらに介護の負担は家庭の経済を圧迫し、すべての家庭が担える仕組みではないと指摘される。

かつて一人っ子は「小皇帝」と呼ばれ、家族の愛情を一身に受けて育った。だが成長すると就職難という現実に直面し、やがて両親や祖父母を支える「専業子供」という重い役割を背負う。そこには、逃れがたい宿命のような影が落ちている。

受験会場
中国では就職だけでなく大学受験も熾烈を極める。北京大学や清華大学など一流大学への進学を諦め、日本の東京大学などに”逃避”する学生もいるという(写真:筆者友人提供)

日本では親への経済的依存は「恥」と見なされがち

日本と中国では、親子の距離感と社会的価値観の違いがある。日本では成人後の自立が普遍的な価値観とされ、親に経済的依存を続けることは「恥」と見なされがちだ。

介護について、中国では「孝」の観念が根強く、親の介護を子が担うことが当然とされやすい。一方、日本では公的介護保険制度が整っており、家族に依存せずとも介護サービスを利用できる。

さらに、一般の親世代の資産状況も異なる。中国の都市部では不動産や投資で富を築いた親が多いが、日本では年金と貯蓄に頼る家庭が多く、子を「雇う」余裕は限られている。そういう意味では、「専業子供」が日本に根付く余地は小さいのかもしれない。

【もっと読む】中国出身の私がNHK朝ドラ《あんぱん》を見た結果 戦争描写に感じる「抗日ドラマ」「中国の歴史記憶」との相違点 では、ジャーナリストの黄文葦氏が、NHK朝ドラ「あんぱん」を起点に日中関係について詳細に解説している。
黄 文葦 ジャーナリスト

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こう ぶんい / Kou Buni

日本と中国、日本語と中国語を愛する在日中国人フリージャーナリスト。学校法人白萩学園名誉理事。中国の大学と日本の大学院でマスコミを専攻、日中両国のマスコミの現場を経験。2000年来日以降、日本語と中国語で教育、社会、文化の問題に焦点を当てたコラムを執筆し、両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。19年に電子書籍「日中文談: 在日中国人の日本観(エッセイ)」を出版。20年8月から23年7月までの3年間、日中文化比較のメルマガ「黄文葦の日中楽話」を発行。24年10月、「新中国語から中国の『真実』を見る」(風人社)を出版。

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