中国で実家を出ず"親から給料を貰う"《専業子供》が流行る"深刻な事情"。親から家事の報酬で"月8万円"得る「33歳女性」などにリアルを聞いた

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さらに教授は続ける。

「『蓝领(ブルーカラー)』は『白领(ホワイトカラー)』よりも職を得やすく、代表例がフードデリバリーや配車サービスだ。博士号を持つ人も比較的就職しやすいが、最も厳しいのはその中間層にあたる大学卒業者だろう。これは中国の社会構造や経済状況の歪みを映し出している。いずれにせよ、大学生の就職難と『専業子供』は深刻な社会問題だ」

専業子供は一種の“贅沢な逃避”? 

経済の減速、不動産市場の低迷、民間企業の採用縮小などが重なり、若者が希望する職に就ける可能性は年々低下している。したがって、「専業子供」現象が広がっている。社会が若者を受け入れられなくなった結果、家庭が最後の避難所として機能しているとも言える。

しかし、家庭がすべての若者にとって安全な「港」であるとは限らない。「専業子供」が成立するのは、親に経済的余裕がある場合に限られ、ある意味で“贅沢な逃避”とも言える。

経済的に困窮している家庭では、「専業子供」という選択肢自体が存在しない。より厳しい局面を強いられている。

一部のマスコミは「専業子供」を「親孝行の職業」と持ち上げる。一人っ子政策の影響で親が子に強く依存する構図がある。家族内の役割分担が再定義され、「子供=家庭内労働者」として位置づけられつつあるのだ。

2024年末時点で、中国の60歳以上人口は約3億1031万人、総人口の22%に達する。多くの一人っ子家庭は、両親や祖父母の高齢化に伴い、介護を担う人材が不足するという現実に直面している。

こうした中で登場した介護「専業子供」は、社会に幅広い議論を呼び起こした。支持派は、高齢者介護の担い手を確保しながら、若者に新たな就職の選択肢を与える点を評価する。ある学者は「『専業子供』は伝統的な孝道文化を現代的に解釈したものだ」と肯定的に捉える。

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