中国レアアース大手に「米中貿易戦争」の棚ぼた 北方稀土、市場価格上昇で純利益が20倍超に

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北方稀土はレアアース磁石の原料生産の世界最大手だ。写真は筆頭株主の包頭鋼鉄集団が採掘権を持つ内モンゴル自治区の白雲鄂博鉱山(九三学社中央委員会のウェブサイトより)

中国のレアアース採掘企業の業績が急拡大している。国有レアアース大手の北方稀土集団高科技(北方稀土)は8月26日、2025年上半期(1~6月)の決算を発表。売上高は188億6600万元(約3889億円)と前年同期比45%増加し、純利益は9億3100万元(約192億円)と前年同期の20倍超に爆増した。

決算報告書によれば、純利益の急増はレアアースの市場価格上昇と販売量増加によるものだ。北方稀土の主力製品はネオジムやプラセオジムに代表される軽希土類で、それらの市場価格が2025年初めから上昇し続けていることが利幅拡大につながった。

中国の輸出規制が引き金

レアアースの相場を押し上げたのは「米中貿易戦争」の影響だ。アメリカと中国が追加関税の一時引き下げに合意する前の2025年4月、中国政府は中・重希土類に分類されるサマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの7元素を輸出規制の対象に加えた。

中・重希土類を含む合金や化合物の輸出も規制されるため、実際には軽希土類を含むレアアース製品全体の取引が停滞し、市場価格の高騰を招いた。例えばレアアース磁石の主要原料であるネオジム・プラセオジム酸化物は、2024年上半期の平均取引価格は1トン当たり36万5000元(約752万円)だったが、2025年6月時点では同44万3400元(約914万円)と2割余り上昇した。

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