「空飛ぶクルマ」の中国イーハン、拡大路線を修正 販売増加より商用運航の事業モデル確立を優先

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イーハンは「空飛ぶクルマ」の開発競争をリードしてきたが、商用運行のビジネスモデルはいまだ確立していない(写真は同社の宣伝動画より)

「空飛ぶクルマ」の開発を手がける中国の億航智能(イーハン)が拡大路線の修正を打ち出した。

「戦略の重点を既存顧客向けのサービスに移し、納入済みの機体を安全かつ確実に運航できるよう支援する」。イーハンの胡華智・董事長(会長に相当)は8月26日、同日発表した2025年4~6月期決算の説明会でそう述べ、機体の販売ペースをあえて下げる方針を明らかにした。

イーハンは空飛ぶクルマの開発競争の先頭を走ってきた“スター企業”だ。同社が開発したeVTOL(電動垂直離着陸機)「EH216」シリーズは、2023年12月に無人操縦のeVTOLとして世界初の耐空証明(訳注:航空機の安全性について国の基準に適合しているという公的な証明)を中国民用航空局(民航局)から取得した。

2024年の躍進にブレーキ

それを機に、中国各地の地方政府が(空飛ぶクルマを活用した地域経済振興に期待して)EH216を次々に購入。2024年の納入機数は前年の4倍以上の216機に増加し、イーハンの業績を大きく押し上げた。

ところが、2025年に入ると同社の躍進に急ブレーキがかかった。同年1~3月期の売上高は前年同期の半分未満の2610万元(約5億3800万円)に減少。続く4~6月期の売上高は同44.2%増の1億4700万元(約30億3000万円)に盛り返したものの、2024年に比べた成長ペースの鈍化は否めない。

収益性も悪化している。1~3月期の純損益は7840万元(約16億1600万円)の赤字で、損失額が前年同期比24%増加。4~6月期も8100万元(約16億7000万円)の赤字を計上し、損失額が前年同期比13.1%、1~3月期比で3.3%増加した。

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