「空飛ぶクルマ」の中国イーハン、拡大路線を修正 販売増加より商用運航の事業モデル確立を優先

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イーハンの王釗COO(最高執行責任者)は4~6月期の決算説明会で、2025年の通期売上高について約5億元(約103億円)という予想を示した。これは2024年の通期売上高(4億5600万元=約94億円)比の成長率が1割弱にとどまることを意味する。

イーハンはEH-216をすでに300機近く納入したが、商用運行許可を得た機体はまだ6機しかない(写真は広東省深圳市の発着施設)

同社はなぜ拡大路線を棚上げする方向に舵を切ったのか。イーハンの胡董事長は、理由を次のように説明した。

「機体の受注が不足しているわけではない。航空業界では短期的な成功を追求するより、(長期的な収益を生む)堅実なビジネスモデルを作り上げることのほうが重要だからだ」

商用運航許可はわずか6機

空飛ぶクルマは次世代の地域内交通手段として注目を集めているが、安全かつ安定した商用運行を実現しなければ、その価値は証明されない。イーハンはEH216の耐空証明を取得した後、全額出資および他社との合弁で2つの運航会社を設立。2025年3月には、これら2社が民航局から航空運送事業許可を取得した。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

しかし民航局の開示情報によれば、現時点で商用運航が許可されたEH216はわずか6機にとどまる。一方、財新記者がイーハンの開示情報を調べたところ、耐空証明の取得後に同社が納入したEH216は295機に上る。

言い換えれば、顧客が購入した機体の大部分が、まだ試験飛行しかできない状態にあるということだ。イーハンが中長期的な成功を勝ち取るには、(営利事業として成り立つ)商用運航への現実的な道筋を顧客に対して早急に示さなければならない。

(財新記者:方祖望)
※原文の配信は8月27日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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