京都に進出、JR東海「ホテル拡大戦略」の深慮遠謀 既存ホテルを買い取り「マリオット」ブランドに

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こうした営業施策と比べ、土地を仕込んで開発するホテル・不動産事業はやや時間がかかったが、その第1弾として今回のホテル開業にこぎつけた。

また、オフィスについては、JR東海グループのジェイアール東海関西開発が今年1月、京都市の公募型プロポーザルによる市有地活用事業者選定事業において契約候補事業者に選定された。滋賀県大津市に本社を置く日本電気硝子との共同事業で、京都駅近くの市営住宅跡地を再開発し8階建ての複合ビルを建設する。低層階にスーパーや大ホールなどの商業施設、高層階はオフィススペースとして日本電気硝子の本社機能が移転入居する。2026年に工事着手し、2028年完成を目指す。

JR東海不動産の谷津剛也社長は「私たちが不動産事業に力を入れているという話がかなり広がって、いろいろな情報が集まってくるようになった。沿線エリアを活性化させるという強い使命のもと、ホテル、オフィス、レジデンスの3本柱をしっかり開発していきたい」と話す。

マリオット 客室
「コートヤード・バイ・マリオット京都四条烏丸」の客室。壁に伝統的な四条の町並みが描かれている(記者撮影)

リニア計画への影響は?

2020年6月にリニアの2027年開業が延期に追い込まれたことで、リニアの夢が遠のいた。そんな状況において、丹羽社長が呼びかける「チャレンジ」はJR東海にとって新たな希望である。

ただし、気をつけなくてはいけないことがある。それはリニアの建設資金という巨額の負担を抱えていることだ。将来もホテルやオフィスなどの不動産への投資を続けて資産規模を拡大するのか、あるいは一部の資産を私募ファンドなどに売却して売却資金をリニア建設資金に充当するのか。いずれにしてもホテル・不動産事業が財務面でプラスに働けばよいが、逆に市況悪化などにより足かせとなってリニア建設計画に狂いが生じては元も子もない。JR東海が抱えている事業リスクは自然災害、金利動向、航空業界をはじめとした対抗輸送機関との競合などさまざまだが、今後はホテル市況、不動産市況の動向にも正面から向き合うことになる。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げ。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に定年退職後の現在は鉄道業界を中心に社内外の媒体で執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京交通短期大学特別教養講座講師。休日は東京都観光ボランティアとしても活動。

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