塩野義製薬が仕掛ける「脱・薬売り」戦略の本気度。AIで認知機能を判定、日本生命と組んだヘルスケアビジネスの勝算

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承認に時間がかかる医療機器版を本命と据えつつ、非医療機器版を先行させて市場を開拓する。市場参入スピードと規制対応のジレンマを、この仕組みで乗り越えようというわけだ。

創薬ビジネスからの転換

「創薬型企業としてやっていくこと自体も簡単なことではない」

塩野義製薬執行役員DX推進本部長の三春洋介氏は発表会でこう漏らした。年間売上高約5000億円規模だが、そのほぼすべてが医薬品によるもの。塩野義にとって、HaaS企業への転換は避けて通れない道だった。

HaaSとは何か。薬を売って終わりではなく、診断・予防・治療・予後管理まで患者の健康管理全体をサービスとして継続的に提供し、そこから収益を得るモデルだ。三春氏は「治療薬だけでなく診断・予防・日常生活といった広い場面において価値提供」を目指すと語る。

スライドの画面
塩野義製薬はHaaS(Healthcare as a Service)企業への転換を図っている(筆者撮影)

塩野義は認知症治療薬を持っていない。それでもこの領域に参入した理由について、三春氏は「売り上げ拡大が直接的な目標ではない。人々の健康のために、私どもの強みが生かせるのであれば」と説明する。ただし、現在の売り上げ規模に対して「一定のインパクトがある部分に貢献していく」とも述べ、ヘルスケアサービス事業を本格的な収益源に育てる意欲を示した。薬を売らなくても収益が得られる新たなビジネスモデルへの挑戦である。

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