ハーバード大が警告、肥満は「うつ病」や「認知症」ほか、さまざまな病の第1原因だった――体重を減らす前に知るべき"最新常識"

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肥満による経済的負担は莫大なものです。

肥満に関連する医療費には、糖尿病、心臓病、高血圧症などの併存疾患の治療費が含まれます。さらに、肥満は生産性の低下、障害補償請求の増加、保険料の上昇につながります。

ハーバード公衆衛生大学院の報告書では、肥満による年間医療費はアメリカだけでも1470億ドル(出版時:日本円で20兆円超え)にのぼると推定されており、肥満者は健康体重の人よりも大幅に高い医療費を負担しています。

多くの慢性炎症性疾患の第1の原因

肥満による健康への影響――炎症と慢性疾患

最近のハーバード大学の研究では、肥満が炎症、神経変性疾患、うつ病、心臓病、糖尿病、高血圧、高コレステロール、そのほかの慢性炎症性疾患の第1の原因であることが明らかにされています。

肥満は内臓脂肪の蓄積につながり、この脂肪は炎症誘発性サイトカインを分泌し、全身性炎症やインスリン抵抗性を引き起こします。

肥満による慢性炎症は、2型糖尿病を発症する主な危険因子です。肥満の人は概して、C 反応性タンパク(CRP)やインターロイキン-6(IL-6)などの炎症マーカーの値が高くなっています。

神経変性疾患

肥満は、アルツハイマー病やその他の認知症などの神経変性疾患のリスク増加と関連しています。肥満に伴う炎症やインスリン抵抗性は、認知機能を低下させ、神経変性を加速させる可能性があります。

肥満の人は、健康体重の人と比較してアルツハイマー病を発症するリスクが高いことが研究で示されており、代謝の健康と脳機能の関連性が浮き彫りになっています。

メンタルヘルス

肥満は、うつ病や不安のリスク増加と関連しています。肥満による心理的負担は、炎症やホルモンバランスの乱れと相まって、気分障害の一因となることがあります。

肥満の人はうつ病になりやすいことが研究で示されており、うつ病がさらなる体重増加につながり、その逆もまた然りという悪循環を生み出しています。

肥満におけるマイクロバイオームの役割

新たな研究により、代謝と体重の調節における腸内マイクロバイオームの重要な役割が明らかになっています。

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