「休んでるのに疲れてる」日本人は実はそんなに働いていなかった? 疲労困憊の理由を休養学博士が解説

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ちなみに総務省はその5年前の2011年にも調査をしていますが、傾向は変わっていません。

90.0%の人が11時間以上のインターバルをとっており、うち14〜15時間の人が23.9%で最頻値となっています。

ヨーロッパの人はそんなに長く休んでいるんですかと驚いた人たちに「実は、日本人もヨーロッパの人と同じくらいちゃんと休んでいるんですよ」と言うと、二度びっくりされます。

実際にはそれほど働いていないし、休みの時間はきちんとある。しかし睡眠時間は世界でいちばん少ない……。

じゃあ、働いていない時間は何をしているんだろう?

そう疑問を感じるのは私だけではないはずです。私が考えるに、これには大きく2つの理由があります。

ずるずる仕事をし続けていないか?

1つには、勤務と勤務の間、つまりオフの時間をなんとなく過ごしている人が多いのではないでしょうか。

スマートフォンの動画やテレビをだらだら見たり、インスタグラムを延々とチェックしたり、オンラインゲームをしたりしているうちに時間がどんどん過ぎていき、最終的に睡眠時間が減ってしまうのです。

もう1つには、帰りの電車の中や、家に帰ってからもずるずる働き続けていることがあると思います。

もちろん会社にいるときのように集中して仕事しているわけではありませんが、メールが来ていないかついチェックしたり、チャットに返信したり、明日の会議の調べ物をしたりしてしまうのです。

寝る体勢になっても、枕元にスマホを置いて、メールやチャットの通知音が鳴るとつい画面を開いてチェックしてしまっていませんか。

本来、勤務と勤務の間のインターバルは、オンタイムからオフタイムにスパッと切り替える必要があります。

ところが私たちは、オンタイムがだらだらと継続する環境を自らつくってしまう傾向にあります。

しかもその間に家事をしたり、お風呂に入ったり、ちょっとした片付けをしたりなんてしていれば、寝る時間はどんどん後ろ倒しになっていきます。結果的に、睡眠にしわ寄せが来てしまいます。

一見、休みの時間がきちんとあるようでいて、実際はちゃんと休めていない。これが問題なのです。

片野 秀樹 博士(医学)、日本リカバリー協会代表理事

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かたの ひでき / Hideki Katano

東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員を経て、現在は一般財団法人博慈会老人病研究所客員研究員、一般社団法人日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)、一般社団法人日本疲労学会評議員も務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指した啓発活動や、休養士の育成活動に取り組んでいる。編著書に『休養学基礎:疲労を防ぐ!健康指導に活かす』(共編著、メディカ出版)、著書に『休養学』『疲労学』(東洋経済新報社)、『マンガでわかる休養学 最高のパフォーマンスを生む休み方』(KADOKAWA)など。

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