ピケティも絶賛! 革命的著作「緊縮資本主義」の衝撃 日本をも蝕む「緊縮」と「支配」と「格差」の関係

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ピケティの著書同様、マッテイの本書も資本論として現代に投げかける疑問の大きさは凄まじく、共通した問題意識があるのかもしれない。

『21世紀の資本』はマルクスの『資本論』の21世紀版としても注目されたが、むしろマッテイの本書のほうがその趣きがあるように思う。

ヤニス・バルファキスはアテネ大学に経済学の博士課程を作った人物で、いわゆる“ギリシャ危機”下の2015年に財務相に就任し、当事者としてEUから緊縮を迫られた経験がある。

マッテイの著作の中にはギリシャ危機下の緊縮にも触れられており、実務家としても経済学者としてもマッテイの論考には首肯するところなのだろう。「緊縮財政は無実の政策ミスではなく、暗黒の利益に機能する誤謬である。本書は、緊縮財政の隠された意図を暴いている」と評価している。

日本ではどうなのか

では、日本の研究者ならばどう思うだろうか。現代の日本を生きる私たちであっても「今はどうなのか?」「日本ではどうなのか?」と気になるところは少なくない。

そのあたりは中野剛志氏による本書巻末「日本語版解説」があり、詳しく解説されているので、そちらが具体的で参考になるだろう。

マッテイが投げかけるものの大きさは、今の日本においても、いや今の日本にこそ計り知れないのではないか。

たとえば、いわゆる“氷河期”の問題や長期間にわたった日本のデフレを、マッテイならばどう見るだろうか。日本に財政緊縮、金融緊縮、産業緊縮はなかっただろうか。

私はぜひそれを聞いてみたいと思っているが、多くの日本人がそう願えば、彼女は叶えてくれるかもしれない。

佐々木 一寿 経済評論家、作家

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ささき かずとし / Kazutoshi Sasaki

横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業、大手メディアグループの経済系・報道系記者・編集者、ビジネス・スクール研究員/出版局編集委員、民間企業研究所にて経済学、経営学、社会学、心理学、行動科学の研究に従事。著書に『経済学的にありえない。』(日本経済新聞出版社刊)などがある。

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