経営のプロも「ビジネスになるか!」と一喝してたのに…なぜ「セルフうどん」は全国を制覇? 丸亀製麺・はなまるうどんの歴史から読み解く

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かつ、意外かもしれないが、香川県民がうどんを食べるのは、ほぼ朝・昼のみ。各店は昼すぎには店を閉めてしまい、単価の高い夜営業・アルコール提供や長時間営業は、ほぼ成立しない。これでは、家族を養う売上は獲れても、企業の旨みとなるような利益が出る訳がない。

こうして「セルフうどん」業態や製麺所は家業としての店が多数を占め、ビジネスの視点では「手を出すメリットがない聖域」のような存在であった。稀にビジネス展開を考える人々もいないではなかったが、「牛角」「サンマルク」を成長させた外食コンサル大手「ベンチャーリンク」(現存せず)ですら、フランチャイズ化の企画を持ち込んだ「はなまるうどん」に成長の芽を感じなかったのか、融資を断っていたようだ。

なお参考ではあるが、起業家であった筆者の父が「セルフうどんを東京進出させれば、話題を呼ぶのでは?」と知り合いのコンサルタントに相談した際は「その相談はもう何十人も受けた」「東京は地代が高いし、昼食メインでは儲からん。話題は呼べても、ビジネスとして採算とれるか!」「子供3人も作ったくせに、絵空事な事業計画書しか作れんのか?起業家辞めて働け!」と、ありったけの低評価を受けたとのこと。この時点で恐らく「セルフうどんを全国でビジネス展開できる」と考える経営者は、ほぼいなかったのだろう。

セルフうどんの常識を覆した「はなまる」 創業2年で「渋谷の外食ベンチャー・勝ち組」に

はなまるうどん・創業1号店
はなまるうどん・創業1号店(高松市・木太店)(筆者撮影)
「はなまるうどん」かけうどん
「はなまるうどん」かけうどん。創業当初は1杯100円であった(筆者撮影)

「家族経営店に勝てない」「夜営業できない」……そんな「セルフうどん」のチェーンストア化を果たし、たった2年少々で「渋谷の勝ち組」にのし上がったのが、2000年5月に1号店を出店した「はなまるうどん」だ。

香川県のセルフうどん・製麺所併設店は積極的に売上を獲る必要がなかったこともあり、古色蒼然として入りづらい店舗も多かった。ここで、アパレル業を営んでいた「株式会社エイジェンス」が創業した「はなまるうどん」は、自社のノウハウと感覚で「POPでカジュアル」「明るく清潔」な店舗を作り上げ、「かけ一杯100円」という安値でうどんを提供した。

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