やすさんは、ぽぽちゃんの弟分として、2カ月の子猫を迎えた。
ぽぽちゃんはウサギだ。仲間が必要だとしても、自然界では天敵となりうる組み合わせを、なぜ選んだのか。そして本当に大丈夫なのか。
「勝手だと思われるかもしれませんが、ペットを飼うなら犬か猫、という幼い日の憧れが消えなかったんです。ぽぽちゃんに一目ぼれしてウサギを飼い始めましたが、次に家族として迎え入れるなら犬か猫がいいと。そこで、いろんな方のSNSを見て、猫なら大丈夫なんじゃないかと思ったんです」
やすさんは猫の品種についても調べ、性格が穏やかで我慢強い『ノルウェージャンフォレストキャット』を選び、信頼できるブリーダーから迎え入れた。
しかし、いくら穏やかな種とはいえ、猫は猫。しかも、『ノルウェージャンフォレストキャット』は10kg近くまで成長する、猫の中でも大型の種。猫にとっては遊びのつもりでも、じゃれつくだけでウサギは大けがをしかねない。
「最初の半年間は、完全に別室で飼育しました。もちろん相性が悪ければ、一生別々の部屋で飼育するつもりでした。なによりも、ぽぽの安全が一番ですから」
半年間、ウサギと猫はそれぞれの気配を感じながら、ふすま1枚挟んで暮らした。
やすさんは、猫にぴーと君と名付けた。ふわふわの長毛、桜餅のような薄紅色の肉球。その鳴き声は、ピアノの一番高い音を優しく弾いたように弱々しい。日を追うごとに体は大きくなったが、甘えん坊でおっとりした気質の、穏やかな猫に育っていった。

『大きなウサギ』と『小さな猫』?
2匹を別々の部屋で飼育しながら、少しずつ顔合わせも始めた。やすさんがぴーと君を抱っこしてぽぽちゃんに顔見せしながら、時間をかけてお互いの存在を認識させていったという。
「最初はお互いに、いい意味で無関心でした。ぽぽちゃんは怖がるそぶりもなく、ぴーと君は興味を示さず。同じ空間に入れても、相手を意識することはありませんでした。
でもしばらく経つと、ぴーと君がぽぽちゃんを『ボス』だとみなすような行動をとり始めたんです」

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