《嫁姑問題》から読み解く…なぜか「いつも不機嫌な人」が心の内に抱えている"密かな願望"の正体

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同様に、他人に対して強い感情をぶつければ、その反発も強烈になるのです。「優位」を守りたい一心です。すると「何か言い返さなければ」「グーの音も出ないほど反撃しよう」と考えたとしても当然です。

しかし、3秒考えてみましょう。それをやってしまえば、闘いのゴングが鳴ります。戦意むき出しのお姑さんの側からのパンチが飛んできます。最初の言葉は様子を見るためのジャブでしたが、今度は強烈なストレートパンチです。

相手は強打の持ち主で、ベテランの試合巧者。打ち合いでは勝ち目はありません。打ち合いを避けるためには、どうすればいいでしょうか。ゴングを鳴らさないことです。闘いを避ける便利な言葉があります。

賢い人は「闘いの場」に上がらない

「出汁って、そうやって取るんですか。勉強になります」

「ありがとうございます。うっかりして、忘れていました」

「季節の移り変わりは早いものですね。さすがお義母さん」

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こういう言葉は、いわば「押し」ではなく「引き」でしょう。押してダメなら引いてみな、ということわざもあるくらいで、正攻法だけでぶつかっていると、いつまでも反撃されますし、こちらも怒りが収まりません。

良い意味でずるくなって、手ごわい相手と闘わない技を身につけたいものです。大事なのは、闘いのリングや土俵に上がらないことです。家族は格闘技のライバルではありません。お姑さんとお嫁さんの闘いに勝者はいません。

闘いの場から「身を引く技術」が重要です。身を引くことは、負けることではありません。「試合放棄」と心の中でつぶやきながら、お姑さんの言うことを受け入れてみます。

「では、お義母さんのおっしゃる通りにやってみますね」

そんな言葉であなたが身を引いたとして、お姑さんは勝利の美酒に酔うでしょうか。形の上では勝ったのだけれども、自分の幼稚なもの言いに気づいて、反省をするかもしれません。押す力には押す力で対抗しない。押されれば引く。賢いお嫁さんの知恵です。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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