「体調を崩した母は入退院を繰り返していました。その間も妹と私はこの家に入ったことがほとんどありませんでした。ここに来るのがなんか嫌やったんです。妹からは『なんで? 時どきは行きなよ』って言われても、『お母ちゃんおらへんし、空っぽの家に入るのなんかちょっと嫌やねん』と。もともと荷物の量がすごく多いことは知っていたのですが」
この家に家族が住み始めたのは45年前のことだった。まだ父がいた頃、姉は子どもを連れてよく帰省していたが、父の死後はその足が遠のいた。
「あまり母と話したいと思わなかったんです。しんどいというか、厳しい人やったんで。その厳しさに『もういいわ』と。それをずっとこの子(妹)が横で支えてくれていたから、母のことも弟のことも」
隣で聞いていた妹も、母について「ワンマンな母だったので。自分中心の生活で私たちは物を申せませんでした」と話す。実家のモノの多さには前々から気付いてはいた。しかし、母には「生前整理」という考えがなかったという。


親の死をキッカケに自分の生前整理も始めた姉妹
今回の片付けを機に、姉妹は自分たちの生前整理を始めているところだ。
「うちは子どもが1人なので、手をかけさせるのもかわいそうで。今、ちょっとずつ頑張っています」(姉)
年配の人ほどモノを溜め込む傾向がある。現在の日本は気軽にモノが手に入る時代だが、昔はそうではなかった。「もったいない」という気持ちが、どうしても片付けの邪魔をしてしまうのだ。

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