キリン“三宅王国”完成、求められる経営の成果

1月下旬の緊急会見で発表されたこの新体制は、業界内で大きな驚きをもって受け止められた。というのも、HDの三宅社長が留任する一方、ビールの松沢前社長とビバレッジの前田仁前社長(62)が退任となったからだ。2大事業会社トップの二人は1973年同期入社、ともに社長在任3年で、ポスト三宅の最有力候補とされていた。

加藤壹康前HD会長、三宅HD社長とも、ビール社長を務めた後はHD社長に就いており、当然、松沢氏も同じルートをたどると思われていた。前田氏は「商品開発のカリスマ」として業界内で名声がとどろいていた。『一番搾り』『淡麗』『氷結』など今のキリンビールを支える主力商品の生みの親。2009年、大幅に業績の悪化したビバレッジを立て直すためにビバレッジ社長に就くと、『午後の紅茶エスプレッソティー』のヒット商品を生み出した。ビバレッジの業績改善もメドをつけ、HD社長レースで松沢氏の最大のライバルは前田氏と目されていた。

今回の人事を決めた三宅HD社長は、「両氏(松沢氏、前田氏)に不満はない。ただ、今期は15年最終の長期目標に向けた13年からの中期経営計画を策定する。策定した人が最後まで実行できるよう、トップの若返りが必要だった」と説明する。ただ、HDの加藤前会長も相談役に退いており、「有力者を排除した三宅さんが権力基盤を固めた」と見る関係者は多い。

業績不振、海外の誤算 株価低迷で強まる批判

国内飲料トップの地位にあるキリンの足元は揺らいでいる。

11年12月期はビール4社(他はアサヒグループHD、サントリーHD、サッポロHD)の中で唯一の減収減益。震災の被害が4社の中で最も重く、関連特損が約200億円計上された不運もあった。が、純益が前年比35%減の74億円と悪化した最大の要因は、HDが主導する海外事業の不振だ。

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