キリン“三宅王国”完成、求められる経営の成果
サントリーとの統合交渉が破談になった直後、加藤前HD会長からHD社長の地位を譲られた三宅氏は、営業畑でトップ級の成績を挙げることで出世してきた。ただ、02年にキリンビール役員になって以降、大きな功績を残せずにいる。HDに移行した07年、ビール社長に就任し、自ら営業部門の最高責任者を兼務して会社創立100周年を記念する大型商品「キリン・ザ・ゴールド」を立ち上げたが、パッとしないまま09年には販売は終了した。
業績不振、買収の不手際、株価の低迷もあり、「本来なら三宅さんが責任をとるべきところを、事業会社の二人に責任をとらせた」「若い新米社長を二人従えて、事実上の三宅王国だ」などの批判が社内外で噴き出している。
松沢氏は、「できることはやり切った。歴史とは後世の人たちが決めるものであり、私への評価も後世の人たちが決めればよい」とだけ話し、前田氏はコメントを控えている。
長期目標への道筋つけ批判を封じられるか
2月に発表した12年12月期予想は増収増益を見込んではいる。ただし、震災影響がなくなることに加え、大金を投じた買収案件が乗るため、増収増益は当たり前。むしろ、中期経営計画に掲げる12年の数値に多くが届かない(表)ことで、失望感が先行している。