1日3時間も勉強しているのに成績が上がらない?脳科学者が警告!親が知らない「スマホ横目に勉強」が子の学力を下げる理由

✎ 1〜 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その結果、スマホが子どもたちの学力を「破壊」している、という恐ろしい現状が浮き彫りになったのです。

1日のスマホ使用が「1時間未満」をピークとして、使用時間が長いほど成績が低いという相関が見られました。

スマホ使用時間が長い子どもは、単純に勉強をしないから成績が低いというわけではありません。スマホの使用時間が「3時間以上」になると、どれほどがんばって勉強時間を確保していても、きちんと睡眠時間をとっても、成績が平均未満に沈んでしまう傾向があることが明らかになったのです。

「ながら勉強」の驚くべき悪影響とは?

SNSの通知を確認しながら、ゲームをしながら、動画を流しながら──。こうした「ながら勉強」は、集中して学習している子どもたちと比べ、明らかに効果が落ちることがわかっています。

極端な例ですが、「30分間、集中してスマホを使わずに勉強した子」と「3時間、スマホを触りながら『ながら勉強』をした子」の成績が、ほとんど変わらないという衝撃的なデータもあります。つまり、3時間勉強しても、実質的には集中して勉強した30分の効果しか得られていないのです。

脳のワーキングメモリ(頭の中で情報を一時的に保持し、処理する力)については前回の記事でもお話ししましたが、「作業外の刺激」も、脳の稼働効率を下げる一因です。新井先生も書籍の中でシン読解力のトレーニングのためには、「作業外の刺激をできるだけ減らそう」とお話しされていました。

人間の脳は、マルチタスキングには向いていません。

前頭前野は原則として一度に1つのことしか集中できないという性質があります。「同時進行」しているつもりでも、実は注意を細かく切り替えているだけのタスクスイッチングに過ぎません。

頻繁な注意の切り替えは集中を妨げ、作業効率を低下させることが知られています。また、ワーキングメモリは、いわば机の上の作業スペースのようなもので、物が多くなればなるほど探すのも整理するのも困難になります。

つまり、「ながら」作業や「ながら」勉強は、効率が悪いのです。学習の効果を上げるには、子どもの学習以外の刺激をなるべく減らして集中して取り組める環境を整えることが重要です。

次ページスマホルールを守らない子どもへの声かけ
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事