
イメージ(写真:notamatsu / PIXTA)
NHK大河ドラマ「べらぼう」では、江戸のメディア王・蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)を中心にして江戸時代中期に活躍した人物や、蔦重が手がけた出版物にスポットライトがあたっている。連載「江戸のプロデューサー蔦屋重三郎と町人文化の担い手たち」の第33回は、10代将軍・徳川家治の人物像と、その死にあたって意次に嫌疑がかけられた背景について解説する。
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ミス連発の小納戸も優しくフォロー
「パワハラ」とは無縁の優しい性格の将軍だったらしい。10代将軍の徳川家治には、そう思わせるような逸話が多い。
あるとき、仕事に慣れない小納戸が将軍の膳に、左に置くべきものを右に置き、右に置くべきものを左に置いてしまった。さらに、蓋を取って出すべきものに蓋をして、蓋をするべきものに蓋をせずに出したという。
いくらなんでも間違えすぎだと思う読者もいるかもしれない。だが、私もまた周囲を唖然とさせるようなミスをするタイプなので、十分にあり得る話だと、このダメ小納戸にむしろシンパシーさえ覚える。
とはいえ、激怒されても致し方がない状況だ。「何をやってるんだ」と呆れられるくらいで済んだらかなり幸運なほうだと思うが、家治は将軍という最高権力者でありながら、どこまでも優しかった。
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