理性的な判断がおろそかになる危険性も…なぜか「推し活」では見境がなくなってしまう人の"悲しい性"

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ちなみに、アンケートの標本誤差を5%以下にするためには400サンプルが必要とされています。

(出所:『なぜ人はそれを買うのか? 新 行動経済学入門』より)

よい結果のときほど「偶然」を「必然」と信じる!?

民間療法には、薬草療法、気功、催眠療法など、さまざまなものがあります。科学的に効果が実証されたものではないにもかかわらず、民間療法に頼る患者が多いのはなぜでしょうか?

『なぜ人はそれを買うのか? 新 行動経済学入門』(Gakken)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ワラにもすがる気持ちもあるかもしれませんが、それらによって「効いた」「腫瘍が小さくなった」と証言する患者が一定数いるからです。

しかし、本当にその民間療法が病気に効いたかどうかは残念ながらわかりません。なぜなら、私たちの健康状態はつねに一定ではなく、ランダムに変動しているものだからです。

そのため、健康状態が大きく悪化すると、そのあと、揺れ戻しのように平均的な状態になることがあるのです。

このような振り子がつねに揺れ動いているような状態のなかで、たまたま民間療法を行ったタイミングで症状が改善方向に振れたら、「効いたぞ」となるわけです。

ものごとは、ある程度のスパンでとらえると平均的な線に落ち着きます。これを「平均への回帰」と呼びます。しかし、ややもすると部分だけを切り取って判断し、見誤ってしまうことがあります。「平均への回帰」をつねに頭におくことで、代表性ヒューリスティックのゆがみを矯正することができるはずです。

(出所:『なぜ人はそれを買うのか? 新 行動経済学入門』より)
池上 彰 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶応義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京科学大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事