理性的な判断がおろそかになる危険性も…なぜか「推し活」では見境がなくなってしまう人の"悲しい性"

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これはクスリを飲んだという安心感が自然治癒力を引き出すためとの説もありますが、思い込みがいかに身体に影響するかという一例といえるでしょう。

(出所:『なぜ人はそれを買うのか? 新 行動経済学入門』より)

そのほか、実際は安いお酒であっても「これはめったに手に入らない高級酒ですよ」と言われて、そう思い込んで飲むとおいしく感じたり、「この木はうるしだ」と伝えると、本当はうるしの木でなかったとしても皮膚がかぶれてしまったりすることがあるといいます。

つまり、人は知識によって知覚が影響を受けるということです。このようなプラシーボ効果を使って悪事を働く例がある一方で、この心理作用はプラスにも活用できます。

たとえば、上司が部下に「キミはやれば必ずできる」と繰り返し語りかけて、そうだ、自分はできるんだと思い込ませるという手法です。プラシーボ効果をどう活かすかは、心がけ次第というわけです。

落とし穴もある「確率」の見方

あの人は公務員だから、きっと真面目だろう――。このように「公務員=真面目」というような、代表的・典型的な例をもとに判断することを代表性ヒューリスティックといいます。

当たらずといえども遠からず、ものごとを素早くざっくりと判断するためには、この代表性ヒューリスティックは有効です。ただし、落とし穴もあります。それは誤ったものをつい代表的であると思ってしまうことです。

たとえば、ある育毛剤について、4人中3人に発毛効果が認められたという情報があったとします。4人中3人なら発毛確率は75%。「これはいいぞ」と思われるかもしれませんが、サンプル数がたった4人では、その確率はまったく当てになりません。

薄毛に悩む友人が3人そろって大のラーメン好きだから、ラーメンを食べすぎると薄毛になる。単純に確率の高さだけで判断するなら、こんな怪しげな説にも真剣に耳を傾けなくてはいけないことになります。

このようにサンプル数の少ない偏った情報を一般化してしまうことを「少数の法則」といいます。

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