理性的な判断がおろそかになる危険性も…なぜか「推し活」では見境がなくなってしまう人の"悲しい性"

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このとき、あなたを支配しているのは「好き」という感情です。こうした、感情のままに意思決定することを「感情ヒューリスティック」といいます。

感情ヒューリスティックは、ものごとを迅速に判断させますが、反面、理性的な判断がおろそかになる危険性をはらんでいます。そのため、とくに現代のような情報過多社会においては注意が必要です。

膨大な情報量を処理するのは時間と労力を要するため、手っ取り早く感情ヒューリスティックを稼働させてしまいかねないからです。現代人に問われているのは、感情と理性のほどよいバランスといえるでしょう。

人は「気に入らないもの」を遮断してしまう

直感的に決めるヒューリスティックは、ある程度の判断ミスは避けられません。そうしたミスを誘発しがちなのが「確証バイアス」です。

これは無意識のうちに自分にとって都合のいい情報ばかり集めてしまう傾向のことで、自分の思い込みや好みが原因になります。

(出所:『なぜ人はそれを買うのか? 新 行動経済学入門』より)

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

「への字の口をした人は頑固者」とか「仕事のできる人は食事も早い」とか、自分の経験則からつくられたものをあたかも真理であるかのように思い込む。あるいは、何か判断するにあたって、知らず知らずのうちに「好き嫌い」のモノサシを当てて好みの情報ばかり集めてしまうなども確証バイアスといえます。

思い込みや好みで判断しがちなのは人間らしい一面ですが、確証バイアスの問題点は、気に入らない情報をシャットアウトしてしまうこと。これがときに重大な判断ミスを招くことを肝に銘じておきたいものです。

私たちの判断をゆがめる原因である"思い込み"について、もう少し続けましょう。

「プラシーボ効果」をご存じでしょうか。有効成分のない偽薬を本物のクスリと信じて患者が服用すると、ある程度の割合で症状が実際に改善する現象です。

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