ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと 本田直之著
昨今、「ノマド」という言葉が注目されている。英語で「遊牧民」をさすが、最近では「オフィスを持たず、ネットやモバイルを駆使して様々な場所で仕事をする」といった意味で使われるようになった。満員電車や残業とは無縁と思われるこの新しい働き方に憧れを抱く人も多いだろう。
本書もタイトルに「ノマド」を掲げている。だが、「カフェでノートパソコン1台で仕事をする」ためのライフハックを伝授するような単純な内容ではない。仕事はもちろん、「住む場所、生活、趣味などを含めたライフスタイル全般の話」が主軸であり、仕事と遊びの垣根を超え、場所・時間・モノ・おカネに縛られないで生きていくための心構えや具体的なトレーニング法を提唱している。
著者は、『レバレッジ・リーディング』(東洋経済新報社)などのレバレッジシリーズがベストセラーとなった本田直之氏。東京とハワイに拠点を持ち、世界中を移動しながら会社経営をはじめ講演や執筆など様々な活動を行っている。
トライアスロンやサーフィンなど趣味もしっかり謳歌しており、ワインに関しては趣味が高じてワイン講座の講師まで務めている。著者自身がまさに、好きな場所に住んで自由に働く「ノマドライフ」の実践者なのだ。
会社員にとっては手の届かない夢のような暮らしに感じられるかもしれないが、ネットやスマートフォンなどテクノロジーの発達により、誰もがノマドライフを選択できる時代になったと著者は言う。
何も海外に拠点を持つことはない。東京で仕事をし、家族とのゆったりした生活は物価の安い郊外で楽しむというのもノマドライフであり、仕事かプライベートかといった従来の区分けで人生を固定化するのをやめ、自分らしさを追求することを推奨している。
ただし、ノマドライフは今すぐにできるものではないという。順風満帆に見える著者でさえ、「ベースをつくる時期(5年)」、「方向性を模索する時期(3年)」、「未来につながる実績を残す時期(5年)」、「転換期(2年)」、「実践期(5年)」と、今のスタイルを確立して順調に生活できるまでに20年もの歳月を費やしている。趣味を一切中断していた時期もあるそうだ。