流山はなぜ"人口急増の街"に変貌?「流山おおたかの森S・C」から考える、商業施設の生みの親と育ての親の重要さ

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2013年から2022年にかけて、「ハナミズキテラス」、「ANNEX1」、「こもれびテラス」、「こかげテラス」、「FLAPS」、「アゼリアテラス」、「ANNEX2」、「GREEN PATH」を順にオープン。2023年には「TXグランドアベニュー」をリニューアルオープンした。

東神開発が築いた日本型の運営形式

前編でも述べたように、ひとつの駅に、ひとつのデベロッパーが、何年もかけて開発を行っているのは異例である。なぜ、東神開発は流山おおたかの森の街でこのような面開発を実現できたのか。

その理由は、東神開発の設立経緯をたどると見えてくる。

東神開発は、日本初の本格的な郊外型ショッピングセンターといわれている「玉川高島屋ショッピングセンター」の開発に伴って設立された会社だ。

玉川高島屋ショッピングセンター
二子玉川にある「玉川高島屋ショッピングセンター」(筆者撮影)

「玉川高島屋ショッピングセンター」の際に、東神開発はショッピングセンターの運営の礎を築いた。アメリカのショッピングセンターを参考にしつつ、日本型の運営形式をつくった。

その中で重要なポイントが、歩合賃料の導入である。

ショッピングセンターの賃料は、固定の場合と歩合(固定+歩合)の場合が存在する。

固定賃料であれば、デベロッパーとしては、テナントが毎月決まった賃料を払ってくれればいい。いわば、床貸しビジネスである。アメリカではこちらが主流であった。

一方で、歩合賃料の場合は、売り上げ×歩合率(テナントごとに契約で決められる)がデベロッパーの収入となる。つまり、テナントの売り上げが上がるほどデベロッパーに入る賃料も高くなる、Win-Winの関係性になるのだ。

デベロッパーは、より多くのお客様に来店してもらうために、運営管理に注力する。たとえば、ショッピングセンターで実施されるイベントの数々は、歩合賃料の仕組みに基づいたものだ。

たくさんのお客様に来店してもらうためには、楽しんだり、くつろいだり、学んだりできる内容でなければならない。だから、自然と街に住む人々のための取り組みが行われる。

加えて、東神開発は地域との「共存共栄」の理念を掲げている。

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