なぜイライラしている部下の「ガス抜き」はしないほうがいいのか? 《ダメな上司ほど傾聴したがる》"傾聴の押し売り"がもたらす悪循環

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このような上司は少なくない。よかれと思って部下の話を聞こうとするのだが、逆に「傾聴の押し売り」と受け止められるようなケースがある。

どうすればいいのか。答えはシンプルだ。

部下が「聞いてください」と言ってきたときだけ、耳を傾ければいい。

人には感情を処理する自分なりのペースがある。すぐに誰かに話したい人もいれば、1人で整理したい人もいる。時間をおいて冷静になってから相談したい人もいるだろう。

それなのに、「話を聞いてあげる」という上から目線で迫られたらどうなるか? 自分のペースを乱され、無理やり感情を吐き出させられる。その結果、かえって気持ちが乱れてしまうのだ。

実際、優秀な上司ほど「待つ」ことができる。部下の様子は気にかけているが、むやみに介入しない。そして部下から「ちょっと相談があるんですが」と言われたとき、初めて時間を作る。

このタイミングなら、部下も自分の中である程度整理ができている。何を相談したいのか、どんなサポートが必要なのか。それが明確になっているから、建設的な対話ができるのだ。

自分視点の傾聴は相手を傷つける

傾聴したがる上司に共通する特徴がある。それは「自分視点で話している」ということだ。

「部下のために」と言いながら、実は自分の満足のために聞いている。「話を聞いてあげている自分」に酔っている。「傾聴できる良い上司」というセルフイメージを守りたいだけなのだ。

本当の相手視点とは何か。それは、相手が今何を必要としているかを見極めることだ。話を聞いてほしいのか、1人にしてほしいのか、具体的なアドバイスがほしいのか、ただ見守ってほしいのか。

これを判断するには、相手をよく観察する必要がある。表情、声のトーン、態度。これらから相手の状態を読み取り、適切な距離感を保つ。それが本当の意味での「相手視点」なのだ。

自分視点の話し方から、相手視点の話し方を変えていこう。視点を切り替えるだけで、一段の上の話し方ができるようになる。これこそが新著『わかりやすさよりも大切な話し方』の最大のテーマである。

横山 信弘 アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長

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よこやま・のぶひろ / Nobuhiro Yokoyama

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。近著に『トップコンサルタントの「戦略的」勉強法』。

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