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「虫なんて大っ嫌いなのに…」美術学校卒女性がアース製薬で27年間《100種以上の害虫》を育てることになって知った、苦手な仕事との向き合い方

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「虫のことを知らない人たちにも、展示や写真、動画を通じて伝えることで喜んでもらえる。飼育という“内向き”な仕事にとどまらず、外へ発信する楽しさを知ったからこそ、ここまで続けてこられたのかもしれません」

その発信は、社外にも広がった。2018年、有吉さんは『きらいになれない害虫図鑑』を出版。害虫というニッチなテーマにもかかわらず5度の重版を重ねた。害虫について、あらゆる角度からユーモアを交え紹介した一冊は、多くの読者に新たな視点を届けた。

苦手な仕事のなかにも「好き」は見つかる

有吉さんは、かつての自分を振り返る。

「子どもの頃の私は、ゴキブリなら“飛んで襲ってくる”と勝手に思い込んで、必要以上に怖がっていました。でも、ゴキブリは夜行性だと知れば、電気をつければ驚いて隠れるのも当然だと理解できる。蚊が血を吸うのは、交尾を終えたメスだけ。血は産卵のための栄養源なんです。人間の行動に置き換えれば、納得できることばかりです。観察して生態を知っていくと、恐怖心や偏見は少しずつ消えていきました。大切なのは、苦手なものでもあらゆる角度から知って、理解しようと努めることだと気づきました」

虫と向き合い続けて27年。「今でも虫は好きにはなれない」と有吉さんは少し気まずそうに、素直に語る。

感情に振り回されず、与えられたミッションを達成するには何をすべきか。冷静に考え、工夫とアイデアで乗り越えていく。どうしても感情が揺れ動くときは、頼りになる上司や同僚に話を聞いてもらい、相談する。

正しく知り、理解しようと努める対象は、虫だけに限らない。会社の人間関係や、見学に訪れるお客様など、仕事で関わるすべてに通じる考え方だ。「嫌い」と向き合うなかで、「好き」を探し、実践する。その積み重ねが、自分なりの価値を生むのではないだろうか。

最後に、改めて「苦手な仕事を続けるコツ」を聞いてみた。

「好奇心を持つことじゃないでしょうか。私、27年やっていても、まだまだ興味は尽きません。チームで意見交換していると、『へえ』と思うことがたくさんあって。今では、この仕事が天職だと思っています」

研究所入り口にて。ゴキブリのオブジェを入り口に設置する企業なんて、めったに出会えるものではない(筆者撮影)
【画像を見る】※閲覧注意! アース製薬の害虫飼育の様子はこんな感じ。貴重なゴキブリの脱皮の様子も。

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