受験偏差値で全国トップ・灘高校の卒業生が「神戸に残らない問題」に凝縮されている"地方都市の危機"の本質
この変化は、場所や時間に縛られずに家で仕事ができる、新しい女性の働き方を可能にする。最近、コロナ禍でリモートワークが広まった反動として、対面を重視する職場の復活が顕著だ。しかし、職場と住居が近いことが理想とはいえ、都心へ行くほどマンションやアパートにかかる住宅関連費用がビジネスパーソンでは手が届かなくなるほど高くなっている。
この対策としては、会社が対面を重視するとはいえ、リモートを取り入れたハイブリッド型ワークを復活・拡充し、住居費が比較的低く抑えられ、子育て環境に恵まれた郊外で家族が余裕を持って住み、働ける改革をもっと強力に後押ししてはどうか。
2025年1月に亡くなった経済アナリストの森永卓郎氏の言葉を借りれば、都会と田舎の両方の長所を兼ね備えた、郊外にある「トカイナカ」への移住である。ここに高付加価値型企業の本社やサテライトオフィスを誘致し、住職接近労働者を増やすという手もある。
夫婦ともに働く共稼ぎが珍しくなくなった今、東京都心志向というニーズは根強いが、そろそろ、国、自治体だけでなく、企業も意識改革が必要なのではないか。それに伴い、ビジネスパーソンの住居地選びの志向にも変化が生じてくることだろう。
「東京の中の地方」は都市と地方をつなぐ“触媒”
「東京の中の地方」という機能は、単なる地方出身者の集まりではなく、都市と地方をつなぐダイナミックな“触媒”となる。未婚化、少子化、地方創生、といった課題に取り組むうえでも大いに貢献できる。
この機能を使わないのはもったいない。ところが、相互に影響を与え合う関係性を指す「エコシステム」が未熟である。政府、地方自治体だけでなく、企業もこの強化に注力すべきではないか。まずは、東京圏内での「地方創生」、つまり、トカイナカの積極的活用を考えなくてはならない。
当然、賛否両論があるだろう。しかし、危機的な人口減少に直面している日本の現状を鑑みれば、東京の生活環境の改善、都心集中の緩和、地方創生について延々と議論している時間的余裕はない。対策が急がれる。
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