受験偏差値で全国トップ・灘高校の卒業生が「神戸に残らない問題」に凝縮されている"地方都市の危機"の本質
高付加価値の新産業育成が進まなかったのは、神戸市だけの問題ではなく、日本の多くの地方都市に共通している現象だ。結果、自動車産業をはじめとする先人たちが作ってきた産業に今も依存している。
高収益な高付加価値産業を育て「食いぶち」を確保し続けなければ、人々は糧(かて)を求めて、ほかの都市に向う。東京一極集中も単純化すれば、「食いぶち」の確保と大きく関係している。
少子化は、産業革命を経てきた先進国に共通している現象だ。産業革命の定義は、技術革新による産業・経済・社会の大変革。イギリスは産業革命が起こり、女性が工場に働きに出るようになり、家庭料理に手間をかけられなくなった。その結果、缶詰が普及した。
日本企業は「ソフトガール」対策に目を向けよ
料理だけでなく、少子化もまた、産業進展による女性の社会進出がもたらした変化とする意見は聞かれるが、断定はできない。その原因は多岐にわたる。世代別に見ると、さらに複雑化している。
例えばZ世代の女性は、従来の決まったキャリアの道だけでなく、もっと多様な働き方を探している。一般に社会に出て活躍したいと思われがちなZ世代の女性だが、その心の中には「素敵な会社」への就職という目先の願望に加え、安定した生活や家庭を大切にする傾向が見て取れる。がむしゃらに働くキャリアウーマン像とは違う、新しい働き方、ワークライフバランスをより一層重視している。
スウェーデンでも「ソフトガール」が話題を呼んでいる。これは、キャリアの追求よりもゆったり生きること、セルフケア、そしてウェルビーイング(健康で充実した状態)を重視するTikTok発のトレンドだ。
2024年8月に発表されたスウェーデン最大の年次若者調査では、7~14歳の少女の14%が「ソフトガール」を自認しており、若い女性の間で一種の憧れとなっている(『COURRIER JAPON』2024.12.12.から抜粋)。
日本の女性は、男女雇用機会均等法が制定される1985年頃まで夫への経済依存度が高く、夫と死別・離婚すれば、生活が苦しくなるという人生の転換を強いられた。しかし、これほどオンラインで仕事ができるようになり、AI(人工知能)による仕事の効率化やロボットの導入がさまざまな分野で進めば、労働スタイルも大きく変わるだろう。
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