クイズ作家・日髙大介(47) ≪パニック障害≫でセンター試験は途中帰宅し、仕事も次々降板…“ライオン16頭に囲まれているような恐怖”を語る

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──それは大変でしたね……。

体調不良というかたちで降板したのですが、とにかく辞める勇気が要りましたね。自宅のソファーでずっと横になって休養する毎日でしたが、うつ病は「ただの怠け」じゃないのか、と言われてダメージを受けたこともありました。でも、とにかく休養するしかないんです。あんなに大好きだったクイズ番組も「見るのもツラい」というくらいに落ち込んでしまって。

しかも、僕は「吐き気」というものが苦手で、抗うつ剤の副作用には吐き気のあるものが多いため、うつ病の薬を飲めないんです。飲むと今度は「パニック発作」が結局ひどくなるので。これって、八方塞がりですよね(笑)。この状況、もはや一周回って面白いなって思います。あ、これはあくまでも自分の状況に対してですよ。他に苦しんでいる方々に対するものではありません。

収入が激減した時期も…。安らげるのは“英文の中”

──フリーランスとして活動されているので、収入面でも影響があったのではないでしょうか。

そうですね。自分ができる最低限の仕事に絞りました。だから収入が一気に激減した年もありました。一時期の半分以下になったり。ただ、2018年からは、少しずつ調子がよくなったのか、『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』(フジテレビ系)という番組で、1回の収録用に約1000問のクイズを作成・監修する仕事を始めました。我ながら両極端ですよね(笑)。

この頃から、自分の「調子の波」を慎重に見極めながら仕事をしています。いい波が来たら、ガッと仕事をして、悪いときは休む。その繰り返しです。

パニック障害って、とにかくお金がかかる病気なんですよ。通院代や薬代もそうですし、僕の場合は、電車だと発作が出やすいために移動はタクシーを使うことが多いんですが、このタクシー代もバカにならない。だからここ10年間くらいは、ほとんど洋服も買ってないですし、旅行も行っていません。切り詰めるところは切り詰めて。でも「本当はもっとできるはずなのに」っていうのが本音です。悔しいですね。

──フリーランスで日髙さんと同じような病気を抱えている方は、「自分が働けなくなることで収入が途絶えてしまう」という不安が発作のトリガーになっている方もいそうですね。

そうかもしれません。パニック障害持ちの人は、24時間いつ発作が出てもおかしくないので、常に不安と戦っている状態だと言っても過言ではありません。でも生活のためには働かないといけない。そのなかで発作のトリガーになることが増えてしまうのはつらいですよね。

僕の場合は、少しでもマイナスの気持ちを紛らわすために「勉強」をするのが好きで、今は英語の勉強をしています。論理的な英文を読み解いていくのが楽しくて、集中して英文の中に入り込んでいる間は、なんだか気持ちが安らぐんです。

だから同じような病気と闘っている方や、心に不安定さを抱えている人がいたら、自分なりの“お守り”や“安全地帯”を見つけて、少しでも自分が苦しまなくていい時間を長くしてもらえたらなと思っています。

*【あわせて読みたい】
インタビュー第2弾では、パニック障害に対して本人、そして周りの人間ができる具体的な対処法などについて、日髙
さんに詳しく語っていただいています。
19歳でパニック障害を発症した人気クイズ作家(47)、「美容院でのシャンプー中に飛び出した…」発作の意外な“トリガー”とは?
池守りぜね ライター・編集者

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いけもり・りぜね / Rizene Ikemori

インタビューメインのライターとして、雑誌やWebなどの媒体で執筆。ゲストを招いたトークイベント『放課後のしゃべり場』の主催とMCも務める。専門は音楽、サブカルチャー。note:https://note.com/rizeneration X(旧ツイッター):@rizeneration

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