クイズ作家・日髙大介(47) ≪パニック障害≫でセンター試験は途中帰宅し、仕事も次々降板…“ライオン16頭に囲まれているような恐怖”を語る

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

──そのあとは、すぐ病院に行ったのですか?

はい。最初は、やっかいな風邪かなと考えていて、近所に評判のいい内科があったので受診しました。下見の日に起きた症状を伝えると、亜急性甲状腺炎(甲状腺に炎症が起こり、甲状腺組織が破壊される病気)ではないかと診断されました。薬を処方されたので、それを飲めばよくなるだろうと思っていたんです。

でも一週間後、センター試験を受けるために友人たちと新幹線に乗ろうとしたら、下見のときのことを思い出して怖くなり、どうしても乗れなくて……。後に知ることになるんですが、このように「また起こるんじゃないか」という恐怖感を「予期不安」というんです。結局、本試験は諦めて、追試験を受けることになりました。

すべての科目を試験時間の半分で解き切って医務室へ

──日髙さんは東京大学を第1志望にしていたとのことで、センター試験の受験は必須ですよね。追試験は無事、受けられましたか?

追試験は東京での開催だったので、静岡駅より遠くなってしまいました。なんとか会場までたどり着けたのですが、「よーい、はじめ!」と教室の扉が閉まると、とたんに不安や恐怖心が襲ってきて。1科目目は英語でしたが、症状がひどくなる前に解き終わるしかないと思い、試験時間が80分のところ、40分くらいで終わらせました。手を上げて退出を希望して医務室で休み、次の科目に合わせて教室に戻りました。

──その状態では、試験に集中するのが難しそうですが……。

僕の場合はその逆で、「襲ってくる不安症状から逃れるためには、早く解答し終えて、1分でも早く退室するしかない」と思ったら、全集中して試験に取り組めました。しかも不思議なことに、とてもよく解けたんですよ。でも、半分の時間で解いて、医務室で休んで、また戻る。これを1日目だけで4科目分繰り返したらさすがに疲れてしまって、「明日も同じことをするのは無理かも……」と感じました。

その日の夜、なんとかホテルに帰って1泊しましたが、2日目は会場の入り口で「今年はここでリタイアする」と決断し、その年のセンター試験を受験するのを諦めました。

日高大介さん
日髙さんは悔しさをにじませながら当時の心境を語ってくれた(撮影/今井康一)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事