クイズ作家・日髙大介(47) ≪パニック障害≫でセンター試験は途中帰宅し、仕事も次々降板…“ライオン16頭に囲まれているような恐怖”を語る

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──会場に入る前から、不調が起きてしまったのですか?

とにかく門の向こうに入るのが怖くなったというか。また昨日と同じように、教室の扉が閉まったとたんに不安に襲われるのはつらいなって思いが募ってしまったんです。これも「予期不安」ですね。それでこの年の東大受験を諦めて、二浪しようと決めたのが1997年の1月頃でした。

その後に、前回かかった内科を受診しました。そうしたら先生から「パニック・ディスオーダー(今でいうパニック障害)って知っていますか? もしかしたら亜急性甲状腺炎ではなく、そっちかもしれない」って言われたんです。その症状が自分に現れていたものとかなり一致していたので、「これかも」と腑に落ちました。

──やっとご自身の不調の原因がわかったのですね。

先生から「私立大学の受験チャンスがまだ残っているので、第1志望ではないといえど、模試だと思って受けてみては」という提案をされました。パニック障害の症状が出た際に飲む薬を処方されましたが、それが自分に合うかどうかを試す機会も兼ねられると。それならば私立も受けてみようと決め、試験日に合わせてまた上京しました。

なぜか症状が出ず…私立受験で味わった“皮肉”

──受験校はどのように選んだのですか?

先生に、なるべく東大と難易度が似ている学校がいいと勧められましたので、早慶(早稲田大学・慶應義塾大学)かなと考えました。本屋さんの願書売場の前であみだくじを書いて、「慶」に止まったので慶應の経済学部を受けることに。そこから受験日までは、人生で初めて睡眠導入剤を処方されたこともあって、ほぼ寝て過ごしていました。過去問を解く余裕も気力もなく「最後まで試験を受けられればいいや」って考えていました。

──そんななかで見事、合格を掴みとっていますね。

まずは、無事受け終えられたことにホッとしました。薬の効果だったり、第1志望というプレッシャーがなかったりというのもあると思いますが、センター試験のときのような不安にも襲われませんでした。たまたま問題との相性もよかったのか、拍子抜けするほどリラックスして楽しく受けられたんです。合格はありがたいですが、「ああ、皮肉なもんだな……」というのが、当時の正直な感想ですね。

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