「ホテル高いな…そうだ、ローソンに泊まろう!」 コンビニの「車中泊施設」参入が”納得”の理由と、乗り越えるべき2つの重大課題

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乗り越えるべき課題①迷惑車中泊ユーザー

道の駅やサービスエリアなどが徐々に車中泊を歓迎しなくなった原因は、おもに「深夜の騒音問題」だ。猛暑のさなかにカーエアコンに頼ろうとしてアイドリング(エンジンをかけっぱなしの状態)にすると、そのまま騒音が響き渡り、近隣からの苦情につながる。

車中泊に慣れた人々は、その多くが車中泊におけるマナーやルールを学んでいて、夏場に関しても持ち込みのサーキュレーターとコンビニの氷などで冷気を循環させるなど、深夜にエンジンをかけずに過ごす方法を知っている。

しかし、コロナ禍後のブームで車中泊の魅力を知った人々は、こういった工夫を知ることなく、深夜に「暑い!もう無理!」と耐え切れずに、エンジンをかけてしまいがちだ。

なお、今回ローソンが設置する「RVパーク」もアイドリング禁止であり、日本RV協会も普段から「無駄なアイドリング禁止」を呼び掛けている。

事前にサーキュレーターなどの準備があれば電源ドラムから給電して使用できるが、こういった準備なくローソンのRVパークを利用して、耐え切れずエンジンをかけた場合、注意するのはローソンの店員になるはずだ。

ローソンに限らずコンビニ店舗は住宅街に近い場所にあり、近所からの騒音クレームには過敏になっている。こういったルール違反が現場の店員に負担をかけるような事態は、避けたほうがよいだろう。

乗り越えるべき課題②ゴミの多量廃棄

また、もうひとつ多発する問題が「ゴミの多量廃棄」だ。特に海が近い場所では、釣った魚の生ゴミをダストボックスに捨てるような人も一定数いて、「ここでイカをさばくな!」「釣りで出たゴミ廃棄禁止」などの警告文がベタベタと貼られている道の駅・コンビニを、たまに見かける。

釣り目的で車中泊されている方だと「フリーザーバッグ二重+綿密な密閉+冷却で自宅持ち帰り」などのノウハウを持つものの、、慣れない人々はそのままコンビニのゴミ箱に捨てる場合もあり、近隣の住民や店員が、悪臭でダメージを受けることになる。

中には不要となった釣り針までコンビニに廃棄し、店員がゴミ処理中にケガをする、といった事態も。マナーを守らない人々も、少ないものの一定数はいるのだ。

ローソンのRVパークでも、先に述べた通り「専用のごみ袋1袋まで生ごみ処理可」といった線引きをしている。あとは、利用者がルール通りに行動し、店舗にいらぬ手間をかけないことを願いたい。

ローソンにも望まれる「車中泊・マナー向上の取り組み」

今回ローソンが行う「車中泊事業」への参入は確実に成長の余地があり、ローソンにとってもRVパークにとっても、絶好のビジネスチャンスであることに間違いはない。また安心して駐車できる場所の増加は、増え続ける車中泊ユーザーへのメリットにもなるはずだ。

あとは、ローソン店舗の現場に負担をかけず、トラブルを起こさずにRVパークを運営できるかが、今後のカギとなってくるだろう。ここは、車中泊に慣れた人々が持つノウハウをローソンから世間に発信できれば、ローソン×RVパークのマナー向上だけでなく、さらなる需要拡大につながるかもしれない。

ローソン×RVパークの取り組みは、自由に行動することで地域に経済効果をもたらしやすい「車中泊ユーザー」の規模拡大につながるのか。そして収益をもたらすのか。今後の推移を楽しみに見守りたい。

宮武 和多哉 ライター

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みやたけ わたや / Wataya Miyatake

バス・鉄道・クルマ・駅そば・高速道路・都市計画・MaaSなど、「動いて乗れるモノ、ヒトが動く場所」を多岐にわたって追うライター。政令指定都市20市・中核市62市の“朝渋滞・ラッシュアワー”体験など、現地に足を運んで体験してから書く。3世代・8人家族で、高齢化とともに生じる交通問題・介護にリアルに対処中。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅(既刊2巻・イカロス出版)など

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