「私と同じこと言ってるのに…」なぜあの人の言うことは聞いて、私だと言うことを聞かないのか?
心理学者のロバート・チャルディーニは、権威を持つ人の言葉がいかに人々の行動に影響を与えるかを研究した。
たとえば病院での実験では、医師の指示であると伝えられた看護師は、明らかに不適切な投薬量を指示されても、それを疑問視せずに受け入れてしまうという。これは専門家という「権威」を持つ医師の言葉を、過度に信頼してしまった結果だ。
また、アメリカのある大学で実施された実験では、学生たちに簡単な計算問題を解かせた。最初は普段着の若者が先生役をしたところ、学生たちは自分の計算を信じ、間違いを指摘された際も反論した。しかし同じ人物がスーツを着て「MIT(マサチューセッツ工科大学)の数学教授」として現れると、学生たちは自分の計算が正しくても、教授の指摘を素直に受け入れたという。
このユニフォーム効果は、ビジネスの世界でも活用されている。たとえば研究開発型の企業では、白衣を着た技術者が商品説明をすることで、お客様からの信頼度が格段に上がるという。教育の現場でも、白衣を着た講師のほうが、生徒の学習意欲を高められることがわかっている。
このように人は見た目や肩書きで相手に 「権威性」を感じると、自分の判断を疑い、相手の意見を受け入れやすくなるのだ。
権威性を感じる5つのポイント
では、人は具体的にどんな要素に〝権威性〟を感じてしまうのか? 私たちが無意識のうちに影響を受けている、5つの代表的なポイントを紹介しよう。
1 専門家のお墨付き
最も典型的なのが、「専門家の推奨」だ。たとえば医師が推奨する薬であれば、多くの人は安心して服用する。逆に、どれほど良さそうに見えても、無名の一般人から「この薬、効くよ」と言われただけでは、なかなか手は出ない。健康食品でも「98%の医師が推奨」といったコピーは効果抜群だ。専門家の意見は、私たちの判断を大きく左右するのだ。
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