老いるほど「心と体が弱る人」と「強くなる人」の決定的な差――和田秀樹氏が指摘、人生100年時代を謳歌する3つの秘訣

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●肉を食べて意欲と筋肉を養う

私はあらゆる機会をとらえて「肉を食べよう」と言い続けています。動物性タンパク質の宝庫である肉は、筋肉や血管、皮膚や粘膜などと、あらゆる組織の材料になるからです。

また、肉にはセロトニンの材料となる必須アミノ酸のトリプトファンが多く含まれています。肉を食べてセロトニンを増やしておけば、意欲の低下やうつ病の予防にもなるのです。

肉を敬遠する人は「コレステロールが多いから食べない」と言いますよね。確かに肉はコレステロールが多いです。しかし、高齢者には特にコレステロールが必要なのです。コレステロールは意欲とかかわる性ホルモンの原料になったり、脳にセロトニンを運んだりする働きがあります。活動意欲を保つためには、とても重要な食材なのです。

だまって俺について来い

私が知っている経営者に、カラオケに行くと、必ず植木等の「だまって俺について来い」を歌う人がいます。サビの部分の歌詞が印象的な明るい歌です。

私はこの歌のサビの言葉を高齢者の皆さまにおすすめしています。マイナス思考に陥ると、行動力は鈍り、前頭葉の衰えを加速させてしまいます。高齢者こそ、年を重ねるほどに、プラス思考を心がけるべきなのです。

プラス思考になると、脳内でドーパミンの分泌が増えていきます。このドーパミンは、人に幸福感を与える神経伝達物質で、やる気を起こしてくれるのです。行動的になれば、体力を維持し、向上させることができますし、前頭葉も活性化します。

『80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと』
『80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと』(興陽館)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

心が暗くなりかけたら、「なんとかなる」と声に出して言ってみてください。人間の脳は、案外単純にできているので、前向きな言葉を声に出すことで、ドーパミンが分泌されることがわかっています。

昭和の時代の大経営者・松下幸之助氏は、面接で「君は、運がいいと思うかね」と尋ねたそうです。そして「はい。運がいいと思っています」と答えた人だけを採用しました。これは、松下氏が「人生では楽天主義が大事」だということを多くの経験からわかっていたというエピソードです。

私は「老後こそ、楽天主義が必要」だと考えています。老いてくると、数々の試練が待っています。その試練を飄々と軽やかに乗り越えていくためには、楽天的であることが、とても大事なことなのです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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